試乗 アウディRS5スポーツバック WLTPに適合 450ps 優れた長距離クルーザー

公開 : 2019.07.27 09:50

驚異的に速いものの運転感覚は物足りない

そのような背景があってか、2代目のRS5クーペは記憶に残るほどにドライバーにとって魅力あふれる、運転感覚に優れたクルマではなかった。クルマとしては間違いなく驚異的に速く、カーブが連続するワインディングでの走りは信じられないほど。しかし、エキサイティングだったかと聞かれると、それほどでもないのが本音。そしてWLTPに適合させた新しいRS5スポーツバックも、結果としては同様の印象となる。

2.9ℓV6エンジンは極めてレスポンシブで、アウディが主張する0-100km/h加速3.9秒という数字を疑うようがないほどにパワフル。低回転域から強力にボディを引っ張り、驚くほど幅広い回転域に渡ってトルクの山が続く。加速のさなか、変速はココぞというタイミングでスコンと決まり、その動作も非常に精巧だ。

ドライブトレインが響かせるサウンドトラックも、スポーティ、と表現するのすら控えめに感じるほど。ただし、かつて初代が搭載していた4.2ℓのV8の響きと比べてしまうと、どうしても迫力や陶酔感には欠けている。ステアリングフィールは、アウディの典型とも呼ぶべき、無感覚なもの。しかも時折ステアリングへの入力に対して、レスポンスが合致していないように感じる瞬間もある。

だが感覚的な部分を切り離せば、RS5スポーツバックは高次元のダイナミクス性能によって、ドライバーへの確かな自信を与えてくれる。完全に心が奪われるほどではないにしろ。だが、ペースを可能な限り高めていった時の、確実な身のこなしには、間違いなく深い感銘を覚えるだろう。

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