英国におけるGT-R「ゴジラ」 ハコスカ+R32スカイライン 50周年比較試乗 後編

公開 : 2019.08.04 07:50  更新 : 2020.12.08 10:40

30年たった今でも充分に優れたパフォーマンス

4輪駆動システムだから、シャシーがパワーを受け止められないということはない。しかしR32がパワー不足でダルに感じることもない。コーナリングは鋭く、スロットルオフでの姿勢調整もしやすい。コーナリング時にパワーを掛けていくと、後輪駆動であるかのようなスタンスで抜けていく。過去の例を見ても、クルマをぶつけてしまう理由がよくわかる。

実際、GT-Rは可能な限り100%後輪駆動となるように設定されている。鋭い加速時など必要なときに、まるでスイッチが入ったかのように電子制御された湿式多板クラッチがつながり、フロントタイヤへ最大で50%のトルクが送られる。トラクションの限界は第一印象より高い次元にあるようだが、その兆候はスカイラインの場合はオーバーステアで現れてくる。アウディ・クワトロがアンダーステア傾向なのとは対象的だ。

最近レストアされたこのクルマの場合、純正より1インチアップの17インチのニスモ製アルミホイールを履き、R33GT-Rに搭載されていた巨大なブレンボ製のブレーキに換装されていたから、限界領域は標準モデルよりも高い。ブレーキペダルの感触もしっかりしており、ストッピングパワーも強力。この組み合わせのおかげもあり、誕生から30年が経過していることを忘れるほどに、いま運転しても速く、優れたパフォーマンスを備えている。

そんなR32GT-Rだが、数年前には6000〜8000ポンド(81〜108万円)ほどで購入できたものの、今ではレストアが必要な状態のクルマですら2万ポンド(272万円)の値段が付く。20代の若者なら、モディファイのためのお金も見ておきたい。ニスモ仕様の状態のいいクルマは、6万〜10万ポンド(816万〜1360万円)に達する。GT-Rの誕生から50年ほどが経過しているが、ようやく今頃になって、その高性能マシンの真価に英国のひとびとも気付き始めたようだ。

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