英国におけるGT-R「ゴジラ」 ハコスカ+R32スカイライン 50周年比較試乗 後編
公開 : 2019.08.04 07:50 更新 : 2020.12.08 10:40
レースから追い出された圧倒的なゴジラ
圧倒的な強さを示したGT-Rだが、1992年のバーサスト、マウントパノラマ・モーターレーシング・サーキットでの出来事は、今でも記憶深いようだ。「レース中、大雨の中が降ってきました。無線でウェットタイヤに交換するので、ピットに戻るようにジム・リチャーズへ伝えたのですが、その前に既にクラッシュしていたのです。壁に接触してしまったとリチャーズは告げたので、クルマはもう駄目だろうから、ゆっくり戻って来るように無線で伝えました」 と当時を振り返るフレッド・ギブソン。
その後、集団クラッシュが発生し、リチャーズも再びクラッシュ。レースは赤旗が出て中止となり、リザルトは集団クラッシュ前の順位に基づいて決められた。GT-Rはトップを走っていて優勝という結果も明白だった。しかし表彰台に登ったスカイフとリチャーズは、観衆からブーイングを受ける。リチャーズはマイク越しに言い放った。「この反応は酷い。オーストラリアのレースファンは、スポーツスピリットを持っていると信じてきました。しかし、ここに集まった皆さんはあまりに酷い。クソッタレ!」
シーズン終わりにCAMSと、レサーのディック・ジョンソン、ホールデン・チームのオーナーだったラリー・パーキンス、レースの放送をしていたチャンネル7は協働し、GT-Rの参戦を禁止させる。GT-R参戦に関わる争いは法定へと持ち込まれた。結果として1992年を区切りにR32GT-Rはオーストラリアのツーリングカー・シリーズから追い出されてしまう。しかし結果的には、GT-Rの強さを認め、評価を高めることになったのだった。
KPGC10とR32、2台のスカイラインGT-Rのスペック
スカイラインGT-R(KPGC10・1970年〜1972年)のスペック
価格:現在13万ポンド(1768万円)以上
生産台数:1197台(クーペ)
全長×全幅×全高4330✕1665✕1370mm
最高速度:199km/h
0-96km/h加速:8.1秒
燃費:8.6km/ℓ
CO2排出量:−
乾燥重量:1100kg
パワートレイン:直列6気筒1989cc
使用燃料:ガソリン
最高出力:160ps/7000rpm
最大トルク:17.9kg-m/5600rpm
ギアボックス:5速マニュアル
スカイラインGT-R(BNR32・1989年〜1994年)のスペック
価格:現在1万9000ポンド(258万円)以上
生産台数:43937台
全長×全幅×全高:4545✕1755✕1340mm
最高速度:251km/h
0-96km/h加速:5.4秒
燃費:7.1km/ℓ
CO2排出量:−
乾燥重量:1430kg
パワートレイン:直列6気筒2568ccツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:280ps/6800rpm
最大トルク:35.8kg-m/4400rpm
ギアボックス:5速マニュアル