ほぼ新車。走行223kmの2CV6が出品。パリ近郊のシャンティイ城で開催されたボナムス・オークション。選りすぐりの車両が揃えられましたが、凝り過ぎたのか落札率は41%と低調に……。

text：Kazuhide Ueno（上野和秀）

photo：Bonhams、Chantilly Arts & Elegance

シャンティイ・アート&エレガンスとは

世界を代表するコンクール・デレガンスといえばイタリアのヴィッラ・デステや、アメリカのペブルビーチが思い浮かぼう。近年始まったコンクール・デレガンスのなかで急激に評価を上げているのがシャンティイ・アート&エレガンスである。1920年代にフランスで始まったコンクール・デレガンスの伝統とスピリッツを復活した社交場といえる内容で行われるのが特徴で、パリ近郊にあるシャンティイ城を舞台に2015年から始まった。

ここはコンクール・デレガンスの他に、各メーカーのコンセプトカーを披露する場であると共にオーナーズクラブのミーティングに加え、クルマのみならずファッション・ショーやカルチャー・イベントも同時に行われるのが特徴だ。

このシャンティイ・コンクール・デレガンスの公式オークションとして開かれるのがボナムス・アート&エレガンスである。会場スペースの関係から持ち込める数に制限があるため、コンクールに相応しい選りすぐった内容で持ち込まれた。台数こそ38台と少ないが、各ジャンルの各時代を代表するモデルが並び、今回の主役となったのが1952年ゴルディーニ・タイプ 15Sと1959年BMW 507 3.2LシリーズIIロードスターである。

なかでもゴルディーニは2台のみという絶対的な希少性と、ファン・マニュエル・ファンジオやジャン・ベーラといったトップドライバーに加えアメディの子息であるアルド・ゴルディーニがステアリングを握り素晴らしい戦歴を備える。

このほか往年のフランス車の華やかさを受け継ぐシトロエンDS19デカポタブルや走行223kmという実質新車といえるシトロエン2CV6チャールストン、レストアベースのプジョー402エクリプスE4クーペ・カブリオレ、サルムソン2300スポーツ・クーペといった希少なフランス車が用意された。

最高値はゴルディーニ

最近のコレクターズカー・オークションに見られる、価値を突き詰める傾向はここでもはっきりと表れていた。そのため微妙な値付けのクルマは入札が続かず流れてしまったため、落札率は42.1%と低調。落札額も下落傾向にありバブル前の値段に近くなってきた。

ここでの落札額トップ5を記すと、1952年ゴルディーニ・タイプ 15Sが8487万円で最高値を記録し、以下1932年インヴィクタ 12/45 4 1/2L ツアラー（3395万円）、1953年アストン マーティン DB2/4 Mark-I 2.6L（2547万円）、1962年シトロエンDS19デカポタブル・アンリ・シャプロン（2193万円）、1935年ベントレー3 1/2L ドロップヘッド・クーペ（1783万円）と、コンクール併催のオークションらしいモデルとなった。

希少な存在になった1954年サルムソン 2300 スポーツ・クーペは623万円で落札され、27台が作られたという1973年インターメカニカ・インドラ・ファストバック・クーペは538万円、走行223kmの1989年シトロエン 2CV6 チャールストンは227万円で決着がついた。

変わったところではゴルディーニ・タイプ66のシリンダー・ブロックとゴルディーニ・タイプ23のカムカバーがセットで出品され29万円で終えている。注目されていた1959年BMW 507 3.2LシリーズIIロードスターは最低落札額まで入札が入らず流れてしまい、シェルビー・コブラ427も来場者の好みに合わなかったのか流札で終えている。

ボナムス・シャンティイ・セール　結果一覧

価格は落札手数を含む額。日本円への換算は、オークション開催当日の為替レートを基に計算。
NS=落札不成立。日本円価格の括弧内の金額は、主催者が発表した予想落札価格。