新旧ベントレー比較試乗 EXP2 vs ベンテイガ 伝統はいまも変わらず
公開 : 2019.08.04 11:50
ベントレー創立100周年を記念して、現存する最古のモデル、EXP2と最新のベントレー、ベンテイガ・スピードを比較試乗に連れ出しました。100年もの年月は自動車そのものを大きく進化させましたが、それでもこの2台のベントレーに感じるのは、その密接な繋がりです。
もくじ
ー 100年の歴史 100歳のモデル
ー 大きな誤解 世界最速のトラック?
ー ベントレーの異端児 驚きの偉業
ー 卓越のエンジニアリング 究極のパワートレイン
ー 良いクルマ、速いクルマ クラス最高の1台
ー テスト車のスペック
ー 番外編1:ベントレーの思い出
ー 番外編2:モータースポーツのベントレー
100年の歴史 100歳のモデル
ベントレーが現在の地位を確立することが出来た理由を知りたいなら、その歴史を理解する必要がある。
これまで100年にも渡って紡いできたその物語を、1年あたり約15文字(編集部注:原文あたり)でご紹介させて頂く予定だが、ここまでですでに3年分ほどを使い果たしてしまったのだから、さほど重要ではない期間、正直に言えば、ベントレーの歴史の半分ほどを省略したとしてもお許し頂きたい。
今回ご紹介するのは、ベントレーの始まりと、現時点で最新の2台だ。1台はクルーの製造ラインから送り出されたもっとも新しいベントレー、ベンテイガ・スピードであり、もう1台ははるかに古く、実質的に最古のベントレーと言えるEXP2と呼ばれるモデルだ。
EXP2とは、2番目に生産された試験的プロトタイプ(Experimental Prototype)を表す呼称であり、完成は1920年まで待たなければならなかったものの、生産が開始されたのは間違いなく1919年、つまりベントレー・モータースが誕生したその年のことだった。つまり、このクルマは御年100歳、ベントレー100周年を記念するに相応しいモデルでもある。
ベントレー最初のモデル、EXP1は1920年に英国版Autocarスタッフだったサミー・デイビスがテストを行っているが、彼は1927年、現在も破られることのない大差を付けて、ベントレーにル・マンでの勝利をもたらしたドライバーでもあった。残念ながらEXP1ははるか昔に失われてしまっている。
一方、EXP2は現在も走行可能な可能で保存されており、その計り知れない価値にもかかわらず、今回ベントレーは喜んでわれわれにこのクルマのステアリングを預けてくれた。
そして、われわれは、このクルマにも他のモデル同様の役割を与えることにしたのだ。つまり、走行中の車両からベンテイガの写真撮影を行う必要がある場合、EXP2は実在するものとしては、もっとも価値あるカメラカーへと早変わりすることとなった。
これほど貴重なモデルに対する冒とくだとお思いだろうか? まったくそんなことはない。これこそが、ベントレー創業者、ウォルター・オーウェン・ベントレー(WOベントレー)その人が望んだであろう正しい使い方なのだ。