新旧ベントレー比較試乗 EXP2 vs ベンテイガ 伝統はいまも変わらず 

公開 : 2019.08.04 11:50

番外編1:ベントレーの思い出

リチャード・ブレムナー


遠くからでも、タイヤスモークとスキール音が聞こえてくる。だが、このピレリ製タイヤを痛めつけるような行為のお陰で、MIRAのテストコースでは珍しい日の光がボディを照らし出すまで、このクルマの正体を見極めることは出来ない。

浮かび上がったのは、巨大なサルーンがそのボディと同じ長さをドリフトしている様子だ。

それこそがベントレー・ミュルザンヌ・ターボであり、この半分忘れ去られたようなブランドが、その栄光の日々をどうやって取り戻すのかを、どう猛なまでに示していた。

スティーブ・クロプリー


レイ・ウィルトシャーという愛すべき人物が、フランスの片田舎をこの美しいベントレー3リットルのステアリングを握ってドライブする機会を与えてくれたのだ。

ストレートカットのトランスミッションと、センタースロットルのモデルを運転したことはあったが、公道では初めてだった。スムースなギアチェンジを連続で成功させると、レイは大げさに褒めてくれたが、それはこのクルマのお陰であり、わたしの実力ではない。

だからこそ、いつの日か自分の「WO」を手に入れたいと思っている。

アンドリュー・フランケル


ベルギー、ルクセンブルク、フランス、ドイツ、スイス、リヒテンシュタイン、オーストリア、イタリア、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、スロバキア、ハンガリー、チェコ、そしてポーランド。

去年、ベントレー・コンチネンタルGTに乗って、24時間で15カ国を訪問したが、この旅では100年前、ベントレーの創業者が思い描いたビジョンはいまも健在であり、見事に継承されていることを実感することとなった。

ダミアン・スミス


アストン マーティンではない、少なくとも、イアン・フレミングの原作では、ジェームス・ボンドはベントレーに乗っていたことを、11歳のころ夢中でページをめくっていた時に発見している。

フレミングの後を継いだ作家たちも、ベントレーを登場させ続けており、ジョン・ガードナーは彼の007作品で、ミュルザンヌ・ターボでモンテカルロを駆け抜けるシーンを描いている。

大きな声では言えないが、DB5よりもこのクルマはボンドに完ぺきにマッチしていた。

マット・プライアー


ベントレーのステアリングホイールを目にするたび、思わず戸惑いを覚える。

手縫いのレザー仕上げのこのステアリングのステッチ間隔は、それぞれの職人がフォークを使って穴を開けているのだ。

つまり、フォークの先端の間隔がステッチの間隔であり、フォークはそれぞれの職人が自ら用意するため、細部にまでこだわり抜いたキャビンのなかで、職人が使ったこの食器のせいで、ステアリングホイールのステッチ間隔だけは千差万別なのだ。

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