5.2ℓV12の直接的な魅惑 アストン マーティンDBSスーパーレジェーラ・ヴォランテ 試乗

公開 : 2019.08.01 10:10  更新 : 2019.08.01 12:15

100kg増加もボディ剛性の悪化は5%

もちろんボディ後半は全面的に設計が見直された。パネルというパネルは専用品となり、クーペと同じ視覚的なマッシブ感を演出し、完璧なプロポーションを生み出している。テールの位置は全体的に低められ、アンダー・ガーニーフラップは露出。Cピラーの気流を利用しダウンフォースを発生させるCダクトと相まって、空力特性を高めている。アルミホイールは鍛造の21インチ。クーペボディに劣らない視覚的な魅力と、個性を備えている。

それでは、ダイナミクス性能ではどうだろうか。

ルーフの開閉機構のほか、ボディシェルを補強し、剛性確保のためにブレースがリア周りに追加され、車重は100kgほど増加し1863kg。それに対応させるため、リアスプリングとスカイフック・ダンパーのレートは高められている。しかし、優れたハンドリングと乗り心地の快適性のバランスは素晴らしく、クーペに遜色のない仕上がりだ。

ヴォランテのボディ剛性が非常に高く、クーペと大きな違いがない点が何より大きい。カンバストップを開けた状態でも、クーペとの比較で5%程度しか強度の低下は見られないというから驚き。しかし、増加した車重は、滑らかさが失われた路面において、ほんのわずかながらクルマの落ち着きを奪っている。

サスペンションのセッティングを最も硬い状態にしても、優れたボディコントロール性を確保しつつ、揺さぶられ続け疲れるような乗り心地とは無縁。ダンパーは非常にいい仕事をしているが、スピードを上げていくとリアタイヤの挙動は、クーペと比較するとわずかに安定性で劣り、振動も発生している。避けられないことだとは思うが、事実だ。

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