ロードテスト ジャガーFペースSVR ★★★★★★★★★☆
公開 : 2019.08.03 11:50 更新 : 2019.08.09 16:51
内装 ★★★★★★★★☆☆
SVRとはいえ、内装の基本構造は2016年に登場した通常のFペースと変わらない。とはいえ、それを問題視する必要はない。高く広いベルトラインとともに、引き上げられたセンタートンネルが、思った以上に落ち着くサルーン風の雰囲気を感じさせる。だが、窓外の眺めは、背の低いクルマでは決して望めないものだ。根本的に、長距離ドライブをするにはすばらしい環境だ。
見逃しようのない追加要素は、サポートが張り出したキルティング仕上げのバケットシートだ。SVRには標準装備され、ドアを開けるとスーパーカー的なムードが味わえる特徴的なアイテムだ。そこに身を収めると、ステルヴィオ・クアドリフォリオをはじめとする多くのスーパーSUVよりヒップポイントが高いことに気づくが、シートそのものはしっかり身体を掴み、必要以上に高く座らされているようには感じない。
テスターのなかには、一体型ヘッドレストがあまりに低く前へ突き出しているので、理想的な快適さを得られないという声もあった。とはいえ、シートのサポートやペダルのポジション、電動ステアリングコラムの優れたアジャスト性といった部分は例外なく好ましい。これほど操縦がナチュラルなライバルはそうそうないし、圧倒的に大排気量なV8を鼻先に積んだものでは皆無だ。
いっぽうで、後席のヘッドルームとレッグルームは通常のFペースとまったく変わらないので、後席に大人を乗せてそれなりの距離を走っても気が咎めることはない。荷室は650ℓで、ステルヴィオ以上ポルシェ・カイエン以下といったところ。マテリアルのクオリティにも、同じことがいえる。しかし見逃せないのは、ジャガーがFペースのフラッグシップに与えたインフォテインメントシステムが、最新型のタッチプロデュオではなく、旧式のもののままだということだ。