腕の立つドライバーでも満足感ある扱いやすさ

ただし、ドライバーが操る自由度が少なくなったわけではない。フロントに荷重を掛け、アクセルペダルを戻せば、コーナリングラインはイン側へと締まる。スロットルレスポンスもシャープで、望めばそこからリアタイヤをアウト側に振り出すことも難しくない。ドリフトに持ち込む際の不安感も少なく、ステアリング操作による修正も最小限で済むだろう。一般的なドライバーにとっては扱いやすく、腕の立つドライバーにとっても満足感のあるハンドリングなところがポイント。

乗り心地や日常的な乗りやすさ、という点でも非常に良好。スパイダーは標準のボクスターより車高は30mm低く、ダンパーの設定変更の幅も小さい割に、スコットランドでの試乗では設定を変えたいと感じることはまったくなかった。スピードが増しても、ボディの動きは完璧に制御されている。

滑らかでありながら、優れたボディコントロール性も確保するという、相反することを両立させることは非常に難しい。減衰力の立ち上がりは印象的なほど漸進的で、伸縮のバランスの良さや落ち着き感、滑らかさには感動すら覚える。

そして注目の新しい4.0ℓエンジンだが、こちらも基本的にはケイマンGT4と同じ。小さなボディに大きなエンジンが乗ったといえるユニットで、許容回転数は8000rpm、7600rpmで420psを発生させる。最大トルクは42.7kg-mと、先代のボクスターと違いはないが、発生回転数は5000rpmと高め。ルーフを開けていても閉じていても、最高速度は300km/hに達し、0-100km/h加速は4.4秒となる。

画像　718スパイダー シルバーとイエロー　全115枚