新型ダイハツ・タントに試乗 ホンダN-BOXとどっちを選ぶべき? タント優勢か
公開 : 2019.08.02 19:10
シートアレンジ、理解すると便利に使える
新型はスライド機能を充実させ、助手席は380mm、主力グレードの運転席は540mmの前後調節が行える。
この長いスライド機能は、ワイドに開く左側のドアと組み合わせることで、優れた相乗効果を生み出す。運転席を後方に寄せ、助手席は前側に位置させると、左側の後席の足元空間が大幅に広がる。なおかつ車内の移動もしやすく、スライドドアから運転席へ、という動線を生み出した。
この動線は子育て世代のユーザーに最適だ。後席の左側にチャイルドシートを装着した場合、スライドドアの電動機能を使えば、子どもを抱えた状態で車内に入れる。ミラクルオープンドアを全開にすれば、ベビーカーごと乗り込める。スライドドア部分のステップ高さは359mmだから、乗降性が良い。
車内に入ったら、助手席を前側に寄せたことで生じた左側の広い空間を使い、子どもをチャイルドシートに座らせる。次は後方に寄せた運転席に移れば、車内の移動で完結するから雨天の日も快適だ。
また高齢者の同乗者にも優しい。左側の前後のドアを開けば開口幅がワイドに広がり、体を捩らずに乗車して後席に座れる。助手席の背もたれにもグリップが装着され、さらにオプションでは大型の「ラクスマグリップ」も用意した。電動式のミラクルオートステップもあり、乗降性をさらに向上できる。
ちなみに先代型の後席は座り心地が悪く、足を前方へ投げ出す着座姿勢だったが、新型はこの欠点を大幅に改善した。座面には適度な柔軟性があり、座面の前側を少し持ち上げたから腰の収まりも良い。高齢の同乗者が座っても、不満は感じないだろう。
今後の改善点としては、乗り込む時の右側にも乗降グリップが欲しい。多くの乗員にとって利き手は右手で、ボディの左側面から乗り込んだ時には、右側に回り込んで後席に座る。従って乗降グリップも右側に装着されていると乗員に優しい。
後席の格納方法も変更された。従来は後席の背もたれを前側に倒し、座面と併せて床面へ落とし込む方式だった。これは操作が面倒なので、N-BOXやスズキスペーシアと同じように、後席の背もたれを倒すだけで座面も下がるワンタッチ方式に改めた。
操作性が向上して、格納操作を単純化したから座り心地も良くなったが、広げた荷室の床に傾斜ができてしまう。一長一短だから、先代型から新型に乗り替える時は注意したい。走行性能については、先代型の欠点を解消している。