ミニ・エレクトリック(クーパーS E)初試乗 EVになっても、ミニは変わらず
公開 : 2019.08.08 06:20
電気自動車となったミニに、AUTOCARの記者が試乗。ミニのキャラクターはそのままに、静かさという新たな魅力が加わったEVになっているようです。
ミニ以外の何物でもない
ミニ・エレクトリックは、由緒ある英国ブランドにとって大胆な新時代の幕開けとなるクルマだ。しかし、それを初めて運転した時に感じた印象は、心強くも馴染み深いものだった。
おそらく、ミニ初の量産電気自動車に対する最大の賛辞は、運転するとその走りやハンドリングは、パワートレインの種類に関係なく、まさにミニ以外の何物でもなかったということだろう。
それはもちろん、悪いことではない。なぜなら、クラシックなミニのキャラクター、すなわちシャープなステアリング、瞬時に向きを変える操縦性、軽快なハンドリングは受け継がれており、それこそが電気自動車のシティカーに求められるキャラクターでもあるからだ。
BMWが2000年にミニ・ブランドを最初に復活させた時と同じように、英国製のミニ・エレクトリック(英国以外ではミニ・クーパーS Eと呼ばれる)で目指したのは、先進的なデザインとノスタルジックな魅力を融合させたクルマとして完成させることだった。
先日フォーミュラEのニューヨークePrixが開催されたブルックリン・ストリート・サーキットで、量産モデルに短時間ながら試乗して感じたことは、その目標が達成できているということだった。
内外装 ほとんど変わらず
一見すると、他のミニ3ドア・ハッチバックと変わらないように思える。違いは主にフロントグリルと、小さな専用バッジがあちこちに付けられていること。そしてスタート・ボタンを押してもエンジンの騒音が聞こえてこないことだ。
それはおそらく良いことだろう。既に確立された、親しまれているデザインであり、エレクトリック・ミニをミニに見えないようにデザインしても意味がないはずだ。このミニとパワートレインを共有するBMW i3が、あえて他のBMWとは違うクルマに見えるようにデザインされたのとは正反対のやり方だ。
量産モデルのインテリアもまた、よく見慣れたものだった。レトロなダッシュボードのレイアウトも、内燃エンジンのミニと同様。大きな丸型のインフォテインメント用ディスプレイが中央に備わり、その下に古風な機械式のトグルスイッチや、スタート/ストップのスイッチが並ぶ。
最近開発されている多くのEVが、大型タッチスクリーンでほとんどの操作を行うミニマリスト的なインテリアを採用するのとは対照的だ。内燃エンジンのミニとの関連を優先したということは、つまり、さらに遡ればアレック・イシゴニスが設計したオリジナルのミニとのつながりを尊重したということになる。