マイナーチェンジ ジャガーXE HSE Rダイナミック 輝きを磨いた中期モデル
公開 : 2019.08.07 20:41 更新 : 2019.08.30 00:44
ジャガーでベストなステアリングフィール
ボディの内面、パワートレインに関しては大きく変更は受けていない。現在、ジャガーXEに提供されているのは、3種類の2.0Lターボのインジニウムエンジン。ひとつは180psのディーゼルで、ガソリンは250psと300psのセッティング。組み合わされるのは市場の中でも先進的で高効率なZF製の8速ATとなる。
最高出力300psのグレードには知的な4輪駆動システムが標準で備わる。存在感は控えめで、ハンドリングバランスを優先させるために、基本的には後輪へトルクを伝達。リアのグリップ力が限界を迎えたときに限り、フロントへもトルクが伝えられる。
ジャガー発表のスペックシートによれば、4輪駆動システム全体の重量は85kg。XEの車重も後輪駆動の1565kgから1650kgへの増加に留められている。コンディションを選ばない機敏な身のこなしへの悪影響も最小限に抑えられたといえる。われわれが試乗したのは、300psのエンジンに4輪駆動が組み合わされた、2019年モデルのP300 AWDだ。
0-96km/h加速に要する時間は5.4秒で、最高速度は249km/hに自制されている。以前にも触れたが、着座位置が低く、自然な姿勢が取れるドライビングポジションは、手頃なFタイプといった印象すらある。特に正確で理想的な重み付けがなされたステアリングホイールのフィーリングはジャガーの中でもベスト。フェイスリフト前の後輪駆動、200psのグレードと比較すると、エンジンレスポンスと乗り心地の質感で大きな違いがある。
長距離ドライブでの快適性も約束
300psのエンジンが生む最大トルクは40.7kg-mで、1500rpm-4500rpmの回転数で得られる。しかし、走行距離1600km程度の試乗車のパワートレインはいまいち精彩を欠く印象だった。JLRのエンジニアが、数千kmの慣らし走行を行わないとエンジンやトランスミッション、4輪駆動システムなどの主要なコンポーネンツが本来の能力を発揮できないという話を思い出し、納得した。
フェイスリフト前の200psグレードのXEでもそれは明らかだった。走行距離が1万6000kmを超えたあたりから、エンジンの回転フィーリングが急激に軽くなったことを実感したのだった。
ジャガーはサスペンションにも、わずかに変更を加えたと話している。新しいXEは一気に洗練性を増しており、静寂性も高まり、走行時の快適性も向上している。ロードノイズも小さくなり、英国では一般的に見られる、アスファルトがよじれたようなバンプを通過した時の衝撃吸収性も巧みになった。
試乗車が履いていたのはパフォーマンス重視といえる、20インチのピレリPゼロ・タイヤだが、走行時に受ける印象は、その優れたプレミアム性。秀逸なハンドリングだけでなく、長距離走行時での快適性も約束されているように感じられる。