AUTOCARロードテスト懺悔録 最大の判断ミス、理由は様々 いまや評価は正反対?
公開 : 2019.08.10 16:50
つねに正しい人間などいないのであり、それは英国版Autocarが誇るロードテスターたちも同じです。さまざまなモデルの評価を行ってきた彼らですが、振り返ってみれば、まったく異なる判断を下すべきだったと後悔することもあるようです。そんな彼らの懺悔録をお楽しみ下さい。
レンジローバー・ヴェラール
星3.5の評価というのは、ランドローバーから登場したもっとも洗練されたモデルに対する評価としては決して満足できるものではなく、その裏にはジャガー製プラットフォームをベースに作り出されたスタイリッシュなレンジローバーに対する勝手な思い込みがあった。
240psというあまりにも控え目なディーゼルエンジンが、少なくとも星半分の評価を下げたことは事実だったが、それも昨夏2週間をともに過ごした、300psを発揮するガソリン4気筒ターボを積むヴェラールが見事に覆している。
このクルマは見事な速さとハンドリングを見せるとともに、快適でもあり、さらに、ほとんどのひとにとっては過剰と思える、想像したこともないようなオフロード性能まで備えていた。
いまわたしの生活にヴェラール以上にフィットするランドローバーなど存在しない。
ロバート・ウェバー
ポルシェ911
まだ駆け出しだったころ、設計そのものに大きな瑕疵を抱えているようなモデルの魅力をどうやってアピールすれば良いのか悩んでいた。
いまでは、ポルシェ911の重量配分に問題があるなどとは誰も思わないが、それははるか昔にポルシェがそのリア偏重のバランスが、望まぬ旋回特性をもたらしているなどという主張を退けることに成功したからだ。
1980年代中盤、リアに吊り下げられたフラットシックスは、ラフなハンドリングやスロットル操作をすれば、簡単にこのクルマをスピンさせると言われており、下りのウェット路面でハードなブレーキングをすればロックが必至の911は畏怖すべき存在だった。
だが、そのドライビングをマスターする過程こそが911の魅力だと言うことに、当時は気付いてはいなかったのであり、いままさにそれを楽しんでいるところだ。
リチャード・ブレムナー
BMW Z3 M
当時も間違いを犯したというほどではなく、いまでは、確かに欠陥はあったものの、こうしたモデルとしては最後の1台だったとまで考えらえている。
つまり、もしいまこのクルマを新車として創り出したら、大人気の1台になるだろうということだ。
いま話題にしているのはBMWのZ3 Mロードスターであり、ほとんど電子制御を持たないシンプルなモデルであり、その魅力的なストレートシックスは十分以上のパフォーマンスを発揮していた。
膨らんだフェンダーと幅広のアルミホイールが、スタンダードなモデルに比べそのルックスをより魅力的にしていたが、このクルマのシャシーは見事とは言い難く、ステアリングにもやや活気が足りなかった。
もしいまこのクルマを所有しているのであれば、それはZ3 Mロードスターを愛しているからに違いない。
コリン・グッドウィン