AUTOCARロードテスト懺悔録 最大の判断ミス、理由は様々 いまや評価は正反対?
公開 : 2019.08.10 16:50
ジャガーIペイス
去年の夏、ジャガーIペイス後期型プロトタイプのキーを渡されたわたしは、イギリスGPの予選にこのクルマで言ってみることにしたのだ。渋滞の可能性を考えると勇気ある決断だったが、戻りのルートはわずか274kmであり、このクルマの実際の航続距離は322km以上だと言われていた。
最初に不安を感じたのは、午前4時ごろに大音量のアラームを聞いた時だった。着の身着のままで外に飛び出し、慌てて充電器からプラグを引き抜いたのは、すでにバッテリーがフル充電されているだろうと思ったからだったが、なんと、身支度を整え、午前6時にクルマをスタートさせると、306km分しか充電されていないことが明らかとなった。
その結果、つねに90km/hほどでの走行を余儀なくされるとともに、自宅に帰り着いたときには、ほとんどバッテリー残量は残っておらず、これでは先が思いやられると思ったが、続いて起こったのは驚くべきことだった。
同じ週にジャガーのスタッフがやって来ると、この車両を最終的な量産スペックにするため、ソフトウェアアップデートを行いたいと言ったのだ。
ラップトップを繋ぐだけで航続距離が延びるなどありえないと思っていたが、アップデートによって、ノンストップで402kmを走行することが出来るようになっていた。
このクルマにもはや弱点など存在せず、Iペイスは完全に世界をリードする存在となった。
ジム・ホールダー