初試乗 新型 ランドローバー・ディフェンダー・プロトタイプ 2020年リリース
公開 : 2019.08.10 09:50 更新 : 2022.08.08 07:55
どんなランドローバーよりハードコアな走破性
そう考えている間、大きなディフェンダーのボディが路面の傾斜に合わせて、右から左へと、何事もないように大きく角度を変える。先代のディフェンダー乗りなら、身体を窓から出して、様子をうかがいながら走るような状況だ。
「レンジローバーやレンジローバー・スポーツと比較して、ハードウェアを強化してあります。サスペンション・サブフレームや、サスペンション・アーム、ボールジョイントやブッシュ類はより堅牢になりました。ホイールアーチも大きくえぐり、サスペンションのトラベル量も大きく確保してあります。ランドローバーのどのモデルより、タイヤの可動領域は大きく、最低地上高も高いのです」
「新しいディフェンダーは、従来の走破性能を超える能力を目標に設計しています。ランドローバーが生み出してきたどんなクルマより、優れた耐久性と信頼性を得ているといってもいいでしょう」 とディークスは仕上がりに自信を見せる。
次期ディフェンダーも、先代と同様にショートホイールベース版とロングホイールベース版がラインナップされ、それぞれ90と110と呼ばれる見込み。しかし90と110が、ホイールベースのインチ表記を示す数字ではなくなった。前後のオーバーハングは短くなり、現行より優れたアプローチ・アングル(前)とデパーチャ・アングル(後)を確保している。ホイールベースが短い方が、ブレークオーバー・アングル(車輪間)で優れ、小回りが利くことはいうまでもないだろう。
アダプティブ・ダンパーに温度監視機能を追加
ホイールサイズは18インチから22インチまでが用意され、オフロード用のタイヤが組み合わされる。オプションとして悪路に特化した「テレイン・レスポンス」トラクションコントロール・ソフトウエアも用意し、タイヤの能力を最大限に引き出してくれるそうだ。
もちろん4輪駆動だが、ディスカバリーよりもハードコアなスペックを持つことを考えれば、前後ともに電子制御のロックデフを備えることになるだろう。ローレンジ・ギアを備えるかどうかはまだ明らかになっていない。搭載される新しい8速ATの1速が、過酷なオフロードで要求されるローレンジをまかなえるほどのギア比に設定される可能性もある。
「新ディフェンダーのサスペンション構造は、他のモデルとの関連性が高いことは事実ですが、異なる部品と設定を採用しています。スチール製のコイルサスペンションが標準で、エアサスペンションはオプション。オフロードを激しく走行する中での加熱を防ぐために、アダプティブ・ダンパーには専用のモニタリング機能も設けてあります。エアサスペンションなら、タイヤの接地性がさらに高まると同時に、車内空間と路面との隔離性も向上するでしょう」
それを確かめるためにも、自らの運転で岩山に登り、河川を渡ってみたいところだが、それは時を改めて。そんな空想をしている間も、ディークスは次々に地面に空いた穴を目がけてクルマを進ませ、左右のタイヤが屈伸を続けている。しかし車内のわたしには、ほとんど衝撃が伝わってこない。