ロードテスト ヒュンダイ・ネキソ ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2019.08.10 11:50 更新 : 2021.03.05 21:37
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
ヒュンダイはこの複雑で斬新なパワートレインを、可能な限り認識しやすいボディに積み込んだ。コンパクトクロスオーバースタイルのそれは、全長4670mm、全幅1860mm、全高1640mmで、フォルクスワーゲン・ティグアンやボルボXC40に近いサイズの2ボックスだ。
高いベルトラインと後ろ下がりのルーフラインがグラマーなシェイプを描き、比較的シンプルなシルエットには空力的要素で飾られる。フロントバンパーやDピラーのダクトはボディ周りの気流を導き、ブレード形状の19インチホイールとリトラクタブルのドアハンドルは、このクラスには珍しく、フラット化されたアンダーボディとともに、空気抵抗を低減する。
ボディの下には、リアアクスルの前後に水素タンクが3基設置される。巨大なスキューバダイビングのボンベといった見てくれのそれは、合わせて157Lの容量を持つ。充填口はリアのホイールアーチの上にあり、最大700バールの圧力で6.3kgの水素を蓄える。この水素は、大気中の酸素とともに燃料電池スタックへ送り込まれ、化学反応により熱と電力、そして水を発生。水はリアバンパー下のパイプから排出される。
燃料電池スタックは、陽極と陰極、高分子電解質膜からなるセルの集合体で、エンジンルームと呼び習わされたフロントのスペースに、163psの電気モーターと合わせて搭載され、その電力により前輪を駆動する。1.56kWhのリチウムイオンバッテリーも装備し、回生ブレーキが生んだ電力を蓄え、必要に応じてモーター駆動に使用される。ハードウェアはix35のそれから刷新され、燃料電池はヒュンダイ内製だ。
燃料充填の工程はガソリンや軽油と変わりなく、所要時間は5分程度だが、専用ポンプを備えたステーションが必要とされる。満タンでの航続距離は、WLTPモードで666kmという。
シャシーはパワートレインほど斬新ではなく、サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンク。電動アシストのステアリングは、ロック・トゥ・ロック2.6回転の設定だ。バッテリーEVの多くがそうであるように、トランスミッションはシングルスピード。回生ブレーキは、効き具合を調整できる。