ロードテスト ヒュンダイ・ネキソ ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2019.08.10 11:50  更新 : 2021.03.05 21:37

走り ★★★★★★★☆☆☆

ネキソの水素燃料電池技術がどれほどアヴァンギャルドなテクノロジーであるかを考慮すれば、その走りが既存の大ぶりな電気自動車とたいして変わらなかったことには驚きを禁じ得ない。それは、より慎重さを要するスロットル調整や、電動パワートレインではおなじみのスムースさやパワフルさが即座に得られるゼロ発進や低速からの加速が、間違いなく大きな影響を及ぼしている。

100km/hを超えるまでプッシュすると弱まってくる直線加速の勢いもまた、未体験の領域とはいえないものだ。ミルブルックの1マイル(約1.6km)あるストレートで計測した加速性能は、0-97km/hが9.6秒、32-64km/hと48-80km/hがそれぞれ2.8秒と3.7秒だったが、96-129km/hには9秒もかかった。

直線加速はEVの平均的なものだが、ドライバビリティはおおむね良好だ。
直線加速はEVの平均的なものだが、ドライバビリティはおおむね良好だ。    Luc Lacey

それだけに、このクルマの直線でのパフォーマンスが強力だと感じられる領域は限定されるのだが、これまでロードテストで取り上げた水素燃料電池搭載車は似たり寄ったりだったのも事実だ。たとえば0-97km/h加速では、2016年にテストしたトヨタのミライは10.1秒を要したし、2017年のホンダクラリティは9秒フラットだった。32-64km/hと48-80km/hも、ネキソとたいして変わらない数値にとどまっている。

価格が近いことを踏まえれば、ジャガーIペースとも比較したくなるというものだが、そこには同じゼロエミッション車でもパフォーマンスのアプローチに大きな隔たりが見られる。昨年テストしたIペースの0-97km/h加速はたったの4.5秒と、今回のヒュンダイの半分以下なのだ。

ドライバビリティに関しては、おおむね良好。回生ブレーキの効き具合は、ステアリングホイールに設置されたパドルで調整可能だ。もっとも、コナ・エレクトリックで導入された自動回生マネージメントが採用されなかったのは奇妙に思えるが。もっとも抵抗が大きいモードでみせる急激な減速に馴染めないこともないが、効率を最大化する入力を習得すれば満足感も高くなる。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事