アウディQ8に国内試乗 初のSUVクーペ、身のこなしは軽く サイズは要注意

公開 : 2019.08.10 05:50  更新 : 2021.10.09 22:21

アウディQ8 走りにも宿る新しさ

Q8のドライビングシートについてみると、黒い一枚板のような仕上げの黒いダッシュパネルが「都会的なSUV」であることを強くと主張している。

MMIタッチレスポンスのモニターを黒いパネル内に溶け込ませているあたりにもアウディらしいセンスが感じられる。

アウディQ8の走りに、アウディらしさを感じると筆者。
アウディQ8の走りに、アウディらしさを感じると筆者。

Q7と同じアーキテクチャーを採用しているQ8だが、操作系やインフォテインメント、ADA(アウディ・ドライブ・アシスト)といった装備は最新のA8のそれをベースとしており、スタイリングと同じように中身も「最新」で満たされている。

アウディQ8の初期導入モデルは3L V6ターボのガソリンモデルのみで、グレードはベーシックなQ8 55 TFSIクワトロ以外に、今回試乗できた2種類のデビューパッケージモデルが用意されている。22インチ・タイヤを履くSラインと、20インチのラグジュアリーでどちらもエアサスを装備する。

走り出した瞬間、ボディの大きさからは想像できない軽さに驚かされた。アルミ主体のボディが生み出す約2.2tという車重がまず軽いのだが、ボディ剛性の高さや、フラットライドに徹する優秀なエアサス、ワイトドトレッドが生み出すステアリングフィール等も軽い印象に貢献している。

また48Vのマイルドハイブリッドシステムを備えたパワートレインの滑らかなトルクの出方も、アウディらしい一体感のあるドライバビリティを強調する結果になっている。

最近のヨーロッパ車のAWDシステムは普段はほとんど前輪に駆動力を配分しないFR的な駆動配分のものが多いが、Q8のそれはSUVらしさが感じられる。

4輪に均等に近く駆動がかかっている感じなのだが、しかしトルクステアのようなものはほとんど感じられない。しかもステアリングを大きく切り込むようなシーンでは、後輪操舵が効いてステアリングの切れ角を減らしてくれるのである。

20/22インチホイール、ベストは?

山道でスポーティに走らせてもSUVらしからぬ身のこなしで応えてくれるアウディQ8だが、もちろんACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)をはじめとする運転支援も優秀だ。

直線的な道路であればステアリングを軽く握っているだけで見事に前走車に追従してくれるし、スロットルやブレーキの操作も繊細な部類に入る。

Sラインに組み合わされる22インチホイール。
Sラインに組み合わされる22インチホイール。

しかも万が一の時に備えてACCをONにしつつ、自ら積極的にドライブするようなシチュエーションでも違和感は少なめな方で、幅広い使用状況にうまく対応してくれる。

今回メインで試乗したのは20インチのラグジュアリーの方だったのだが、22インチのSラインと比べると、明らかに乗り心地が優しく印象が良かった。

22インチでもアシがバタ付くようなことはないのだが、少しステアリングが敏感になり過ぎるように感じられたのである。

短い時間試乗するだけなら22インチの方が新鮮に感じられるだろうが、日々付き合うのであれば20インチの方がストレスフリーであるに違いない。

とはいえSUVクーペという性格上、見た目は非常に重要で、実際に見た目が「キマっている」と思えるのは、重心が低く見える22インチ(Sライン)の方である。

またSラインにはグレーメタリックの塗装が施されたシングルフレームグリルが装備されており、これがQ8のスペシャリティ感を際立たせている。

デビューパッケージの2台からベストな1台を選ぶのは容易ではないのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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