手放したのは失敗? AUTOCAR英国メンバーが挙げる1台 高騰/魅力の再認識が理由
公開 : 2019.08.11 05:50
トライアンフTR2スペシャル
理想を言えば、いままで所有したすべてのクルマとオートバイを手元に置いておきたかったが、彼らを売却することで、次の購入資金を確保することが出来たのだから後悔などない。
それでも、1台か2台、もしかしたら3台はそうしたモデルがあるかも知れない。
まるで1930年代のレーシングカーを思わせる美しいスタイリングで、素晴らしいドライビングを楽しませてくれたトライアンフTR2スペシャル(写真)は忘れられない1台であり、ワンオフモデルゆえに2度と出会うことはないだろうこのクルマは、いまはドイツにいる。
だが、すべてのモデルを手元に置き続けていたら、いま、オートバイと禅を愛するひとびとのバイブル、「禅とオートバイ修理技術(原題:Zen and the Art of Motorcycle Maintenance)」流のやり方で深い繋がりを感じさせてくれる、ホンダ・アフリカツインを手に入れることもなかっただろう。
このバイクを手放すことはない。
ポルシェ911 S
クラシックモデルのポルシェ911を手放して、そのことについて話したくない人間など、おそらく地球上でわたしひとりに違いない。
1970年モデルの911 Sを何とか売却することに成功したのは、こうしたクラシックポルシェの価格高騰が始まる直前という、まったく見事なタイミングだった。
確かに、わたしの911はどうみても完ぺきなコンディションなどではなかったかも知れないが、それでも、その価格は多少のコストを掛けて見栄えを良くしても見合うほどの急上昇を見せたのであり、もし、手を入れたうえで売却していれば、住宅ローンすら返却できていたかも知れない。
でも、大丈夫だ。このクルマでは10万8000kmを走破しており、そのなかにはハネムーンで訪れたシシリー島への往復ドライブ旅行も含まれている。
コリン・グッドウィン
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI
すべての愛車を手元に置いておくべきだったことは明らかだ。それでも、それが人生というものであり、娘が生まれたことで、我が家には大型で安全性の高い、サーブ9000が必要となったのだ。
約10年所有していた1984年モデルのフォルクスワーゲン・ゴルフGTIではそこら中を走り廻り、オドメーターはストライキを起こしていた。
シンプルな8バルブエンジンを積んだ、ノンアシストのステアリングのモデルだったが、何処へ行くにも最高の相棒だった。
800ポンドで手放したが、まさにくたびれたホットハッチとでも呼ぶべきこのクルマには、十分な金額だった。
それでも、まさにアイコンと呼ぶべきモデルであることに変わりはなく、800ポンドはベビーベッドとオムツ代へと消えている。
ジェームス・ルパート