英国ツーリングカー選手権の中継 実況担当に密着 舞台裏さぐる 秘密は5つのルール

公開 : 2019.09.23 18:50

5つのルール ファンも安心

そんななか、ジョーダンが2レース目もポール・トゥ・ウィンで易々と勝利を上げている。今日はまったくレースに遅れは発生しておらず、ドライコンディションのもと、すべてが順調に進んでいるようだ。

本日最後のBTCCとなる3レース目では、サクセスバラストと2度のセーフティカーによって今日2勝をあげているジョーダンが16位に沈んだ一方で、ホンダ注目の新人、ジョシュ・クックが優勝を手にしている。

ライダーがスラクストンで2勝をあげたジョーダンに最高の注目を集める。
ライダーがスラクストンで2勝をあげたジョーダンに最高の注目を集める。

その後インタビューが続いたが、誰がなぜ勝利することができたのかなどという些細なことにこだわる代わりに、「素晴らしい週末」を見事に締めくくる、ライダーの秘密を垣間見ることができた。ルールは簡単でたった5つだけだ。

まずひとつ目のルールは、心からインタビュー相手に興味を持つことであり、それは相手の年齢や態度には関係が無い。つねに親しみやすく、アイコンタクトを欠かさずにいれば、素晴らしい答えが返ってくる。

ふたつ目は、質問された相手がよく調べていると感じるような内容を質問し、それを繰り返すということであり、まさにこれがライダーの真骨頂だと言える。

3つ目は、質問は短く、「手短に」というキーワードとともに、簡潔な回答を引き出すことであり、4つ目は、落ち着いてユーモアを失わないことだ。不安は見透かされる。

そして、最後の秘密でありもっとも重要なのが、インタビューの主人公は質問される側であることを忘れないことだ。

午後5時30分だった。中継の舞台裏を経験して疲れ切っていたが、ライダーは今日現場に着いたときと何も変わっていないように見える。リラックスして、彼の見事な銀髪にもまったく乱れは見られない。

彼が次の誕生日を迎えると70歳になることを考えれば、どうやったらそんな風にいられるのか想像もつかないが、ライダーが元気でいてくれる限り、BTCCファンも安心だろう。

番外編:アラン・ゴーが語るスティーブ・ライダー

「1980年代からスティーブ・ライダーのことは知っています」と、BTCC責任者のアラン・ゴーは言う。「彼はつねに熱心なモータースポーツファンであり、クルマ好きでもありました。ライダーがBTCCに関わるようになったのはまさに偶然からです。当時、彼がキッカケを作り出したのであり、以来BTCC中継を続けて貰っています」

「1992年にTOCAからBTCCの運営を引き継いだとき、スティーブはBBCグランドスタンドを担当していました。ビリヤードと馬術の間に行われる20分間のハイライト番組です。スティーブはライブ中継をやりたがっていましたが、わたしにはあまり魅力的なアイデアには思えませんでした」

BTCCの最高責任者、アラン・ゴー。
BTCCの最高責任者、アラン・ゴー。

「ハイライトにはつまらないシーンをカット出来るというメリットがありましたが、それでもスティーブは諦めませんでした。番組は20分から、40分、そして60分と徐々にその放送時間を延ばしていったのです」

いまではゴーもITV4が行う無料のBTCC中継を高く評価しており、彼のもとには視聴者からの評価を証明するデータもある。

彼のもとには有料中継のオファーも来ているというが、それでもITV4を支持していると言う。

「視聴率の問題です。スポンサーやチームにとってそれが重要なのです」

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