人気の7車種 セキュリティをテスト 10秒で盗難できるモデルも

公開 : 2019.08.12 21:35

キーレス・システムの脆弱性を突いてクルマを盗難する犯罪が増えています。What Car?が英国で人気の高い7モデルを、盗めるかどうかテストしてみました。

DS3クロスバック 10秒で乗り逃げ

英国で販売されている多くの人気車種には、セキュリティに関する重大な欠点があることが、AUTOCARの姉妹ブランド、What Car?の調べでわかった。モデルによっては、ほんの数秒で盗まれる危険さえある。

What Car?によるキーレス・システムの調査では3つのモデルが特に問題ありと評価された。最も悪い評価を受けたのは、DS3クロスバックだ。

DS3クロスバックは10秒で乗り逃げ可能
DS3クロスバックは10秒で乗り逃げ可能

その最上級グレード「ウルトラ・プレステージ」仕様は、キーコードグラバーと呼ばれる装置を使えば、10秒ほどで車内に入り込んで走り去ることが可能だった。

アウディTTRSロードスターも同じくらいの時間で乗り逃げできる。ただし、キーレス・エントリーが作動しており、盗難防止モーションセンサーがキーフォブの使用を不可にしていない場合に限る。これらの予防措置が機能していれば、車内に入り込んだり運転したりすることはできない。

モーションセンサー内蔵キーは盗難防止に有効

2018年モデルのランドローバー・ディスカバリー・スポーツはそこまで悪くなかった。しかし、同年式モデルには、ランドローバーの新しい超広帯域無線システムが採用されていないため、30秒もあれば盗むことは可能だった。超広帯域無線システムは、キーの発する信号を超広帯域を使って転送するため、複製されることを防ぐことができる。現在新車で販売されているモデルには装備されている。

今回のテストで最も優れていたモデルは、BMX X3フォードフィエスタだった。What Car?のセキュリティ専門家でも車内に入り込むのに40秒を要し、それから走り去るまでさらに20秒かかった。

テストで優れた結果を残したBMW X3
テストで優れた結果を残したBMW X3

BMWやフォード、メルセデス・ベンツなどのブランドでは、使わないときにはキーが発する信号を停止させる動作感知テクノロジーを採用している。これによってキーがスリープ状態にあれば、自動車泥棒はスキャナーでキーコードを読み取り車内に入り込むことが難しくなる。

What Car?のセキュリティ専門家がテストした7つのモデルの中で、キーフォブの信号が停止している状態でも盗むことができたものはひとつもなかった。しかし、この技術は全メーカーが採用しているわけではない。

極めて費用の掛かるイタチごっこ

What Car?の編集者スティーブ・ハイティングフォードは次のように語っている。「大変遺憾なことですが、自動車メーカーの中には、昔ながらの物理キーを使う方式よりも防犯性に劣るキーレス・システムを採用しているところがあります」

自動車盗難の問題を深刻に受け止めているブランドも少数ながらあることは良い報せです。しかし、特に数多く売れているモデルでは、さらにセキュリティを向上させることが必要です」

車両盗難への対策
車両盗難への対策

この調査結果を受け、SMMT(英国自動車製造業者および貿易業者協会)のマイク・ハウズCEOは次のように述べている。「自動車メーカーは常に調査を続け、新しい盗難防止機能を開発しています。モーションセンサー内蔵キーフォブはそのひとつです。犯罪の一歩先を行くことが重要ですが、それは極めて費用の掛かるイタチごっこでもあります」

「万能な解決方法はありません。各ブランドは自動車盗難と戦う戦略をそれぞれ持ち、前もって開発し、テストし、業界全体で常に新たな防衛手段を講じていかなければなりません。しかし、技術は常に進歩していきます。自動車業界は引き続き、違法な盗難に使用される装置が簡単に手に入る現状を変えるように働きかけていきます」

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