ハンドリングと実用性の融合 G20型 BMW 330d Mスポーツ・ツーリング 試乗
公開 : 2019.08.14 09:50
ディーゼル・エンジンの中でもトップグレードとなる330d。機能性も高く、オールラウンドなモデルとして、コストパフォーマンスにも優れているのは、3シリーズ・ツーリングの伝統でもあります。BMWのお膝元、ミュンヘンで評価しました。
もくじ
ー3シリーズ・ツーリングという高いハードル
ーハンドリングとパフォーマンスはそのままに
ー車重が増えたぶん、タイヤへの負担も増加
ー満タン時の航続距離は1150km以上
ーBMW 330d xドライブ Mスポーツ・ツーリングのスペック
3シリーズ・ツーリングという高いハードル
BMW 3シリーズを上回るステーションワゴンを生み出すことは難しい。長距離移動も優雅にこなす走りと、ドライバーが得られる高い満足感、快適性や大きなラゲッジスペース。1987年以来、ライバルモデルは、これらすべてを兼ね備える必要がでてしまった。
欧州の場合、4ドアサルーンではないBMW製ツーリングは、中流階級にとってのステータスシンボルでもある。過度にならない程度に目を引くアピアランスだけでなく、それに見合う内面も必要となる。ランボルギーニのようなパフォーマンスは必要ないが、か細い加速では物足りない。今の時流に合わせて、燃料をがぶ飲みするようなエンジンも望まれていない。
前置きが長くなったが、5代目となるG20型3シリーズのツーリングが登場した。先代はすでに、充分以上に優れたオールラウンダーとして、広く認知されていたと思う。G20型のエンジン・ラインナップは、150psを発生する4気筒ディーゼルエンジンを搭載した318dから、ツインターボで過給される374psの直列6気筒を搭載する4輪駆動のM340i xドライブまで、幅広い。
BMWがM3ツーリングを生み出す可能性は、i3のモデルチェンジ以上に可能性は少なさそうだ。でもアルピナからB3ツーリングがラインナップされるだろうから、ある程度の需要は満たせるだろう。そのかわりに、プラグイン・ハイブリッドモデルが登場する。65kmほどの距離をEVとして走行が可能だという。
ハンドリングとパフォーマンスはそのままに
ラインナップの中でもたくましいエンジンには、4輪駆動に8速ATが組み合わされるが、中間グレードなら3ペダルのFRも選択は可能。特に320dの人気は高くなるはず。ツーリングの場合は実用性にも抜かりはなく、オプションとして滑りにくいラバー製の荷室カバーも装備できる。リアシートは40:20:40の2分割が可能で、電動で倒せるようになった。
加えて、テールゲートに固定されたリアガラスは単独で開閉することも可能になっている。BMWが最近可能にしたこの便利な機能を、知らない人もまだ多いようだ。
どのグレードを選んでも3シリーズ・ツーリングの満足感は高いだろう。以前のロードテストでは、われわれは新しいG20型3シリーズ・サルーンの備える望外に良いハンドリングとパフォーマンス、質実な内容に最高得点を与えている。そこへツーリング・ボディが、僅かなダイナミクス性能の低下と引き換えに、大きなラゲッジスペースを上乗せしてくれる。リアシートを倒せば、同クラスでも上位につける1510Lの容量が付いてくる。
サルーンとのボディ構造の変化に伴い車重も増えているが、ステアリングフィールにも違いが現れている。BMWはフロントサスペンションのブッシュを意図的に柔らかいものを選択した。ノーズの動きをやや穏やかにすることで、マスの増えたリアの安定性が悪化することを防ぐためだ。