ハンドリングと実用性の融合 G20型 BMW 330d Mスポーツ・ツーリング 試乗
公開 : 2019.08.14 09:50
車重が増えたぶん、タイヤへの負担も増加
だが、アンチロールバーは硬めのものが組み合わされ、若干マイルドになった挙動の印象は悪くない。サルーンほどではないものの、330dは充分にクイックに、コーナーの連続するような道でも容易に駆け抜けてくれる。
今回の試乗車は、英国では標準装備となるアダプティブMスポーツ・サスペンションと、19インチのホイールという組み合わせではなかった。18インチ・ホイールを履いていたわけだが、結果としてタイヤの柔軟性とボディコントロール性とのバランスが引き立つセットアップになっていた。
ピレリ・チンチュラートP7というタイヤは、わたしなら交換するかもしれない。直進性も良く静かなのだが、330dほど速く甘美なハンドリングを備えたエステートには、グリップ力が足りていない印象だった。
その理由は、特に大きくなったボディにある。全長も全幅も全高も先代より大きくなっており、高速走行時のドライブフィールは、期待するほどに直感的なものではなくなっている。事実、E39型の5シリーズツーリングよりも全幅は大きくなっているほど。
といっても3シリーズ・ツーリングは極めて好印象なことに変わりはない。2993ccのディーゼルエンジンはアウトバーンの追い越し車線でもスムーズで平静。200km/h以上の速度域へと難なく加速させ、車内では日常会話が楽しめるほどにノイズが少ない点も美点だ。
満タン時の航続距離は1150km以上
フロントガラスの取り付け構造が良くなったことに加えて、Aピラー内には発泡フォームが充填され、アンダーボディが密閉構造になったことが効いているのだろう。走行時の洗練性を大きく改善している。目隠しをして乗っていると、ワンランク上の5シリーズかのようにも感じられる上質さがある。ただし、リアシートは快適ながら、乗り心地の面でやや角の立つところがあるようだった。
BMW 330dの燃料タンクは59Lの大きさがあり、燃費換算で高速走行時の航続距離は1150kmを超えることになる。さらに燃費で勝る320dなら、その距離は実に1300km以上となり、計算上は英国のロンドンからフランスのル・マンまでを往復できる。
突き詰めれば、ツーリングよりもサルーンの方が、パフォーマンスの面では優れていることには違いない。より正確で機敏な身のこなしの差異には、敏感なドライバーなら出発して一番初めのコーナーを曲がっただけで気づくだろう。だとしても3シリーズ・ツーリングの持つ訴求力は相当に高い。
わたしとしては、330dほどの圧倒的なパフォーマンスは必ずしも必要だとは思わない。秀逸なハンドリングを備えつつも、サルーン以上のラゲッジスペースも必要だと考えるドライバーには、BMW 3シリーズ・ツーリングは、検討リストの上位に入っておかしくないはずだ。
BMW 330d xドライブ Mスポーツ・ツーリングのスペック
価格:4万3065ポンド(559万円)
全長:4710mm
全幅:1830mm
全高:1470mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:5.4秒
燃費:17.8−18.5km/L
CO2排出量:140−146g/km
乾燥重量:1745kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツインターボ
使用燃料:軽油
最高出力:264ps/4000rpm
最大トルク:59.0kg−m/1750−2750rpm
ギアボックス:8速オートマティック