ニュル7分40秒 量産FF最速 300ps 新型ルノー・メガーヌRSトロフィーR 初試乗
公開 : 2019.08.15 09:50 更新 : 2019.08.17 18:38
ステアリングホイールにすべてが伝わる
6点ハーネスや、1本当たり2kgの軽量化が可能なカーボンファイバー製のホイールなど、レコードマシンと同じ装備も選択はできる。この軽量ホイールは、納車時にはクルマに取り付けられることなく、別に梱包されるそうだ。オーナーは街乗り用の通常のタイヤセットと、サーキット走行用のカーボン・ホイールのタイヤセットを持つことができる。トロフィRのオーナーにとっては、ありがたい設定だろう。
徹底的に軽量化が図られたトロフィRは生々しく騒がしい。ドライバーに深く強く訴えかけてくる。アルカンターラ巻きのステアリングホイールからはタイヤの状態がリアルタイムで伝わり、操舵感も重すぎることはない。
わずかに発生するトルクステアを感じ取り、ハードブレーキング時には時折、細かな振動が伝わる。タイヤにどの程度の余力が残っているのか、どの程度流れているのか、すべてを知覚できる。もしこのガーヌRSトロフィーRの最高出力が2倍あったのなら、極めて高いグリップレベルによって、スーパーカーレベルの速さでサーキットを走ることができると確信するほど。
横方向のボディコントロール性や、減速時の能力も凄まじい。タイヤはブリヂストン・ポテンザS007で、通常のガーヌRSトロフィと同じ銘柄。1日中サーキットを楽しんだ後でも、トレッド面の状態は良好に見えた。
ターンイン時はスロットルを戻すか、ややブレーキを引きずるかたちだと、クルマは驚くほど期待通りに向きを変えていってくれる。トロフィーRをパワー・アンダーステアに持ち込むことも可能だが、その挙動は極めてニュートラルに始終する。縁石に乗り上げるとガタガタとノイズを立てるけれど。
一般道でのグリップも「異常なほどに高い」
ルノー・メガーヌRSトロフィーRのボディコントロール性はずば抜けて良かった。車高を少し戻してダンパーを緩くすることで、魅力的なロードカーにもなると思う。ルノーのチーフ・テストドライバー、ローラント・ハーゴンによれば、一般道でのグリップレベルも「異常なほどに高い」という。疑いようがない。
トランスミッションは、デュアルクラッチATより軽量という理由でマニュアルのみの設定。エンジンも仕上がりも素晴らしく、レスポンシブでスムーズ。最高出力は300psと通常のトロフィと変わらないが、500台と限られているクルマの認可取得は、コスト的にも難しいからだろう。そのかわり、徹底的な軽量化でパワー・ウェイト・レシオを向上させ、エクストラ・スピードを得るという作戦を選んだのだ。
価格はフランス現地において、およそ5万ポンド(650万円)になるとのこと。ホンダ・シビック・タイプRと異なり、こちらのラップレコード・ホットハッチには資金力も必要だ。だとしても、クルマの仕上がりは極上そのもの。充分に価格を上回る訴求力があると思うが、購入時に一番ネックになるのは価格でもある。
確かに安くはないが、4倍近い値段の付いたスーパーカーに引けを取らないほど、スリリングなドライビングを味わえるのだ。難しく考えないで選んだ方が良いのかもしれない。
ルノー・メガーヌRSトロフィーRのスペック
価格:5万ポンド(650万円・予想)
全長:4410mm
全幅:1875mm
全高:1435mm
最高速度:262km/h
0-100km/h加速:5.4秒
燃費:9.2km/L(予想)
CO2排出量:180g/km(予想)
乾燥重量:1381kg
パワートレイン:直列4気筒1798ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/6000rpm
最大トルク:40.7kg-m/3200rpm
ギアボックス:6速マニュアル