EVの民主化 プジョー208 1.2プロトタイプ 初試乗 ステアリングは改良中
公開 : 2019.08.16 09:50
内燃エンジンモデルとの作り分けは最小限
内燃エンジンと同じモノコックボディだから、モーターとコントロールユニットはボンネットの中に、エンジンのかわりに搭載され、バッテリーはリアシートの下、燃料タンクがあったところに組み付けられる。トランスミッショントンネルと呼ばれる部分は、電気が伝送されるケーブルが配される。インテリアも基本的には同じ。リアシートに座った場合、純EV版はフロントシート下につま先が入れられないから、その点でパワートレインがエンジンかモーターかを区別できる程度。
純EV版は136psの電気モーターに50kWhのバッテリーが組み合わされ、WLTP方式による航続距離は340km。充電ポートは、エンジンモデルの給油口と同じ場所、左側の後ろに用意されている。この208の考え方は賢明で、コンパクトカーは手頃である必要があるが、EVとなると内燃機関モデルと比較して高価になるのがいまの通例。違いを最小限にすることで、価格差も抑えることができるはずだ。
ただし、e−208の場合、バッテリーパックが大きく、リアトレッドが広げられている。合わせてリアのホイールアーチも、内燃機関モデルとは別のものが用意される。
インテリアの仕上がりは非常に良い。デザインはスタイリッシュで、使用されている素材も悪くなく、質感は全体的に高い。ドアパネルの上部は硬い素材だが、このクラスで見た場合、208よりも上質な物は恐らく見当たらないだろう。タッチスクリーンの操作感は、クラスリーダーよりも直感性に欠け、エアコンの操作までも一体になっている。
改良途中のステアリングフィール
ドライビングポジションはプジョーのiコクピット流で、小さなステアリングホイールの位置を低くし、インスツルメントパネルを上から見るスタイル。当初のようにステアリングホイールのリムがメーターに掛かってしまうことはなくなった。
ドライバー正面には、3D表示によるヘッドアップ・ディスプレイも、アリュール・グレード以上のモデルでは標準装備される。具体的に見え方を表現するのが難しいが、見やすく効果的だと感じた。内燃機関の場合用意されるグレードは、英国の場合アクティブ、アリュール、GTの3段階。純EVの場合はGTグレードのみとなる。
今回試乗したのは、ガソリンエンジンを搭載した、100psの6速マニュアルと、130psの8速ATの2種類。どちらも低回転域ではややもたつくものの、静かに良く回るエンジンだった。トランスミッションのできも良好で、マニュアルは若干変速時の感触が柔らかく感じたものの、ATは変速が知覚できないほどに滑らか。
だがダイナミクス性能では、インテリアデザインの好印象ほど、優れた体験というわけではなかった。乗り心地は良いし、操縦性も良好。ステアリングフィールもダイレクトで機敏にクルマは反応する。全般的にマニュアルの方がATよりも若干軽快だ。悪くはないのだが、初期のボディロール量がだらしなく、ステアリングの操舵感はやや軽すぎる。セルフセンタリング性にも欠け、接地感もわかりにくい。プジョーによれば、エンジニアもわかっており、改良を加えているという。