最新992型 ポルシェ911カレラ4Sカブリオレ 試乗 シリアス過ぎる高性能

公開 : 2019.08.24 09:50

驚異的な走行パフォーマンス

最高速度もわずかに低くなり、クーペの305km/hに対してカブリオレは302km/h。ソフトトップを開けていてもこの最高速度に到達できるということだから、キャビンを包む激しい気流の中でのドライブは、かなりのスリルに違いない。

ルーフの開閉に要する時間は15秒。スイッチはセンターコンソールに配され、48km/hまでなら移動中でも開閉できる。キャビン後部のディフレクターを上げれば、車内は気圧や気流に伴うバッファー音もほとんど生じなくなり、高速道路を走っていても声を張らずに会話を楽しめる。これまでの911コンバーチブル・ユーザーからすると、羨ましい機能だといえる。

ポルシェ911カレラ4Sカブリオレ
ポルシェ911カレラ4Sカブリオレ

リアエンジン・レイアウトだけあって、ルーフを下げてもラゲッジスペースが侵食されることはない。だがもともと911のラゲッジスペース容量はフェラーリポルトフィーノアストン マーティン・バンテージよりも小さい。それでもリアシートの空間があり、アルミニウム製ボンネットを開ければ、深い空間は用意されているから、週末旅行程度の荷物なら難なく積めるだろう。

走行パフォーマンスは驚異的なレベル。ほとんどクーペボディの911と遜色のないレベルだといって良い。重量増に伴い、静止状態から100km/hに達する時間は0.2秒増えている。しかし、ワイドボディ化され低い重心を持つシャシーのコーナリングスピードは、クーペとほぼ同値。ハイスピードで細かなうねりや凹凸のある路面を越えた時の、スカットルシェイクといった言葉は、もはや出番もなくなった。

1982年に登場した初期の911カブリオレに乗ったことがある人なら、最新のカブリオレが備える、クーペとの同等性に驚くはず。カレラ4Sカブリオレでのコーナリング時のグリップ力やトラクションは望外に高く、ステアリングレスポンスや正確な質感は、クーペのものをそのまま体現している。

カブリオレなら4Sでなくても良い

気になる点といえば、ボディスタイルに関わらず、911全体に関することとなる。時代の変化でもあるのだが、性能は余りにもシリアス。少なくとも公道で許される速度域では、コーナリング中に自然なオーバーステアを味わうことはできなくなった。サーキットに持ち込んで、思いっきり走らせるなら、話は別だけれど。

ポルシェ911でカブリオレの「4S」を選ぶべきかどうか、難しい選択ではある。テスト車両の場合、サーキット走行時のポテンシャルは間違いなく高かったが、10mm下げられたサスペンションとフロント20インチ、リア21インチの大径ホイールとの組み合わせで、低速域での乗り心地には厳しいところがあった。もし太陽の光を浴びてクルマを気持ちよく流したいと考えるのなら、そんな乗り心地は相応しいとはいえないと思うが、いかがだろう。

ポルシェ911カレラ4Sカブリオレ
ポルシェ911カレラ4Sカブリオレ

おそらくカブリオレの場合、Sではないグレードに小さなサイズのホイールを組み合わせた、後輪駆動がより良い選択だと思う。管理の悪い路面を緩やかに受け流し、より穏やかな乗り心地で優雅にドライブできる。限界領域までペースを上げなければ、フロントタイヤの駆動力が必要となる場面は少ないだろう。もちろん911に4輪駆動が必要条件だとしても、ホイールのサイズを小さくすれば、カブリオレ化に伴う妥協点はほとんどないといって良い。

ポルシェ911カレラ4Sカブリオレのスペック

価格:10万8063ポンド(1405万円)
全長:4519mm
全幅:1852mm
全高:1299mm
最高速度:302km/h
0-100km/h加速:3.8秒
燃費:8.8−9.4km/L
CO2排出量:207g/km
乾燥重量:1635kg
パワートレイン:水平対向6気筒2981ccツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:450ps/6500rpm
最大トルク:53.9kg-m/2300−5000rpm
ギアボックス:8速ツインクラッチ・オートマティック

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