ジャガー・ランドローバーに小型モデル? プラットフォーム、BMW 1シリーズ共通か
公開 : 2019.08.20 18:50 更新 : 2020.07.05 17:54
投資は将来向け技術開発に回す
AUTOCARの情報提供者によれば、EDUの共同開発からさらに進んだエンジン共有の提携は、JLRにとって自身のインジニウム・エンジンに対する投資リスクを減らす意図があるという。そのリソースを、JLRが「ACES(自動運転/コネクテッド/電動化/シェアリング)」と呼ぶ、多額のコストを必要とする将来に向けたテクノロジーの開発にまわすことができるというわけだ。
実際、2025年および2030年に施行されるEUの排ガス規制に適合するためには、シティカーより大型のクルマはほとんどがプラグインハイブリッドにならざるを得ないだろう。だからこそ、JLRではBMWのFAARプラットフォームを共有することについて現在検討しているのだ。
BMWの次期型X1などに使われるFAARアーキテクチャは、ガソリン、ハイブリッド、そして完全な電気駆動パワートレインにも対応できるように設計されている。
この横置きエンジンをベースとするFAARアーキテクチャは、BMWの前輪駆動モデルとミニの全モデルに使われる予定だ。JLRがこれを共有することになれば、モダンでコンパクトなハイブリッドのプラットフォームという、2025年以降に向けて欠けている重大な穴を埋めることができる。
共有化による大きなスケールメリット
現在、JLRの小・中型モデルの販売規模は約25万台。これがBMWの85万台に加われば、前輪駆動プラットフォームの生産は大幅に押し上げられるだろう。FAARプラットフォームの生産はBMWのオックスフォード工場とJLRのヘイルウッド工場で行われ、これに組み合わされるエンジンとバッテリーの生産がBMWのハムスホール工場で、電気モーターの生産がJLRのウルヴァーハンプトン工場で行われることになる。
ジャガーの2つの小型車と、ランドローバーのエントリー・モデルが加われば、2025年までにFAARプラットフォームの生産規模は年間150万台に達するだろう。
FAARアーキテクチャはJLRにとっても好都合に思われる。全長4.2mから4.6mまでのモデルに使えるからだ。それより小さなモデルはあり得そうもない。バッテリーを搭載するためには最低限そのくらいのサイズが必要だからだ。
例を挙げると、現行型ディスカバリー・スポーツは全長4.6mで、BMW 2シリーズ・グランドツアラーとほぼ同サイズ。ミニ・カントリーマンは4.3mで、レンジローバー・イヴォークが4.37mだ。
最近発売された第2世代のイヴォークと、アップデートを受けたディスカバリー・スポーツは、どちらもJLRのプレミアム・トランスバース・アーキテクチャをベースにしている。このプラットフォームも電動パワートレインの搭載に対応しているものの、基本的には旧型プラットフォームの改良版に過ぎない。より先進的なBMWのFAARプラットフォームを使えば、大きなスケールメリットが見込めるため、生産コストを削減することができる。