字幕付き動画 ポルシェ911(992型)試乗記 クラス最高の仕上がり
公開 : 2019.08.21 14:17 更新 : 2019.08.21 18:27
楽しさ維持して洗練度アップ
以前は911の世代交代で失われるものもあった。もちろん各要素は良くなっているのだが、水冷化されたりパワステや電動パワステに加え、ついにはターボ化もされた。これらの進歩は911を熟成させるとともに、その走りの興奮をわずかに削いでもいた。
しかしこの世代にはそれは当てはまらないようで、先代同様のエキサイティングさを維持しながらより洗練されている。
さて技術的な詳細についてもう少しお話ししたら、場所を公道に移し、その走りを試そう。根本的にはサーキットで素晴らしいクルマは公道でも楽しいスポーツカーであるはずだ。
992型はボディシェルにおけるアルミの割合が増え、先代の30%前後から60%程度になった。フロントのトレッドは46mm拡大され、リアは2駆モデルのみ39mm拡大されている。これはワイドボディ化のおかげだ。
標準の911としては初めて前後異径ホイールを履き、フロントに20インチ、リアに21インチとなる。そしてタイヤ幅は前245/後305だ。これがこの性能を支えている。
さて今度はカレラ2Sだ。カメラは回していないが、4Sでも公道を軽く走ってきた。四輪駆動で450psのSモデルが発売当初の唯一の選択肢だが、より低パワーのグレードやマニュアルが追って登場し、その後GT3RSなどが追加される。
ライバルを寄せ付けない圧倒的な仕上がり
先ほどまでは4Sだったので、次は2Sの話をしよう。4Sも非常に楽しめたが、わずかにステアリングの欠点があった。4WDシステムは最低5%をフロントに送るが、ウェットモードでは特に増加する。
アウディR8と同様ほとんど後輪駆動の4WDシステムは若干
ステアリングに影響を与える。これは911にとってその魅力の核心であり、2Sの方が楽しめるのだ。ステアリングの正確性がわずかに勝り、電動システムとしては素晴らしいラックだ。
重さもちょうど良く、オフセンターのフィールも適切だ。重さの増し方もリニアかつ一貫的で、ロードフィールを感じ取りやすい。本当に素晴らしい。
例えばはるか昔の初代911より楽しいクルマだろうか。ポルシェの基礎となるクルマであり、165幅のタイヤと15インチのホイールを履き、見た目も美しくコンパクトだ。
こんな道を走らせても限界も低く、マニュアル・ギアボックスですべてが気持ちよく、荷重移動が感じられる。これが本来の楽しさでもあり、単純さや軽さ、それにレスポンスの鋭さは今日の911のようなクルマではなかなか実現できない。
最新技術で固められた大きなクルマだからだ。これは2Sにも言えることだ。フロントがワイド化された今、残念ながらもう少し幅の狭かった911が恋しく感じる。
さて、各要素ごとにまとめてみると、ステアリングは正確かつレスポンシブで、フィーリングも良く、シャシーもうまくまとまって乗り心地も良く、ボディコントロールはスポーティなGTらしい仕上がりだ。インテリアはややタッチスクリーンが多めで、もう少しボタンが欲しいところだが、全体的には良くできた堅実なキャビンだ。
その他の部分は991をベースにより熟成させた911という印象だ。われわれは今後しっかりとグループテストを行う予定だが、おそらくこのクルマはクラス最高の地位につけるだろう。わたしには他のライバルとの比較テストで負ける姿が想像できない。それだけ圧倒的な仕上がりだ。