ロードテスト トヨタGRスープラ ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.08.24 11:50 更新 : 2021.03.05 18:46
結論 ★★★★★★★★☆☆
GRスープラの開発が長引いたことに伴う大げさな報道ぶりと90年代への郷愁により、このクルマがカルトな人気を誇る車名に値するか、また、同時期を代表する日本製パフォーマンスカーとして同時期を代表する存在であるか、記したくなるところだ。確かによくできたクルマだが、パーフェクトではない。おそらく、現時点では。
間違えて欲しくないのだが、この5代目スープラは長所が多く、走りの余裕も十分あり、とても好ましい。力強く特徴ある直線加速をみせるだけでなく、共用プラットフォームで走りの独自性を打ち出すことにも成功している。ルックスもファンタスティックだ。
しかし、キャビンには、もっとはっきりとスープラのDNAを感じさせてほしいと思わせる余地が多すぎる。走らせると、はじめのうちは感激することしきりだが、そのうちに粗探ししたくなり、結局は「たられば」を列挙したくなる。
たぶん、近い将来にはMTギアボックスや、ミドシップのライバルを掛け値なしに打ち負かすようなエンジンを積んだ仕様をドライブできるはずだ。さらには、ハンドリングはよりシャープになり、ツーリング時の乗り心地のための妥協はもっと抑えられるかもしれない。今回はやや辛口の採点としたが、改善の望みは十分に見込める。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーン
公道上では、ややタイヤが太すぎるように思える。リアに履くミシュランの275幅は、絶世のオーバーステアマシン、M2コンペティションを10mm上回るのだ。
サイモン・デイヴィス
BMWのリムが太すぎるステアリングを流用しなかったことは、トヨタに拍手を送りたい。Z4のそれより小さく感じられ、インフォメーションは豊かだ。
オプション追加のアドバイス
ヘッドアップディスプレイとワイアレス充電パッドは、スープラ・プロの魅力的な装備で、1300ポンド(約19.5万円)の追加出費をする気にさせられる。より鮮やかなボディカラーの選択肢にも惹かれる。
改善してほしいポイント
・このエンジンにマッチするMTは存在するのだから、ぜひとも設定を。ZFのATはクルージングにはすばらしいが、走りに熱中させてくれるものではない。
・ステアリングフィールやブレーキペダルに見られる、突き放したようなところをなんとかしてほしい。
・キャビンのBMWっぽさは、もう少し抑えてもらいたい。