ロードテスト トヨタGRスープラ ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.08.24 11:50 更新 : 2021.03.05 18:46
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
80スープラは傑作だった。個性的なスタイリングもさることながら、2JZ−GTEユニットのチューニングの許容度の大きさも、そのレジェンドを支えている。翻って新型は、まだ先代ほどの熱烈な支持を集めるかはいまのところ未知数だが、衝撃的なルックスの持ち主であることに異論を唱えるテスターはいなかった。
トヨタが言うには、新型のGRスープラは、80スープラと2000GTにインスパイアされたところが多いのだとか。新型のルックスを語るとき、その象徴的な2台の名はマーケティング的に便利なのだろうが、実際にその面影を見いだすのは難しくない。プロポーションは60年代にトヨタが技術の粋を集めて生み出したグランドツアラーをなぞっているし、ヘッドライトは先代の面影が色濃い。
その外観の下には、BMWとの関連性を示す証拠を見つけられる。プラットフォームはG29こと新型Z4と同じ、BMWのクラスター・アーキテクチャー(CLAR)を使用。3.0L直6ターボやZF製8速トルコンAT、後輪駆動レイアウトも共通だ。また、ホイールベースの長さは同じで、トレッドや全幅はZ4 M40iとほぼ同等である。
ただし、スープラの方がやや長く、低く、そして軽い。また、ステアリングラックや電子制御リアディファレンシャル、スティールのコイルスプリングを用いるサスペンションなどは、トヨタ独自のチューニングが施されている。多田哲哉チーフエンジニアによれば、比較対象として適当なのは、Z4よりポルシェ718ケイマンということになるらしい。
それらはたしかに、根拠のないひとりよがりではない。今回のスープラ、ねじり剛性はレクサスLFAを凌ぎ、重心高は86よりも低いのだ。ホイールベース:トレッド比率は1.55:1で、これはスタビリティとアジリティの完全バランスをもたらすとされる。前後重量配分も、完全に等分だという。もっとも、テスト車の実測値は、1500kgの重量が51:49で前後それぞれの車軸に掛かるというものだったが。
日本では4気筒仕様も設定されるが、これは欧州への導入準備も進行中。また、M3用のS58こと新型直6ツインターボが、将来的にスープラの性能向上版に搭載されるかというわれわれの問いに対し、BMW Mの回答は「可能だが、まずありえない」とのことだった。