ロードテスト トヨタGRスープラ ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.08.24 11:50 更新 : 2021.03.05 18:46
内装 ★★★★★★★★☆☆
BMWっぽさがもっとも目に明らかなのはインテリアだ。長いドアを開け、居心地よく包まれ感のあるキャビンに身を落ち着けると、ミュンヘン由来のアイテムの多さが目を引き、やや頭が混乱する。
インフォテインメントシステムのグラフィックやドライバーアシストの操作系、デジタル計器盤などに出自を隠そうとした努力も見られる。しかし、エアコンパネルやコラムレバー、iDriveコントローラーやシフトセレクターは、BMWのコンポーネンツであることを如実に物語る。
この第一印象の不調和ぶりは、少なくともしばらくの間、自分がなにに乗っているのか忘れさせそうで、ステアリングホイールの中央に付いたトヨタバッジが場違いにさえ思えてくる。
日本製スポーツカーに期待するわかりやすい個性が欠けていることを嘆くテスターもいた。スープラ復活を待ち望んでいたマニアなら、もっとガッカリするのではないだろうか。
とはいえ、機能面で見れば欠点はないと言ってもいい。操作系はどれも容易に手が届く範囲にあり、シートの調整幅は広い。さらには、週末旅行の荷物をたやすく呑み込む290Lの荷室まで備わる。
インフォテインメントシステムはiDriveがベースで、鮮明で読み取りやすい。それはデジタルメーターも同様だが、さらには奇妙な六角形のモチーフを用いたBMW版より、ずっと理に適ったデザインにもなっている。
トヨタはスープラのインテリアに、もっと独自性を盛り込んだ方がよかったかもしれない。しかし同時に、トヨタ製の部品を多用したなら、800万円級のスポーツカーにふさわしい仕上がりになっただろうか、とも考えてしまうところだ。