ロードテスト トヨタGRスープラ ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2019.08.24 11:50  更新 : 2021.03.05 18:46

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

トヨタは、スープラポルシェ718ケイマンのライバルだという。では、ハンドリングの精密さやバランスは、それを主張するにふさわしいものなのだろうか。

ひとことで結論を出すなら「まだまだ」ということになる。とはいえ、フロントエンジンのスポーツカーとしては、期待以上に差を詰めている。

ハンドリングはミドシップ勢に一歩譲るが、FRとしては上々だ。
ハンドリングはミドシップ勢に一歩譲るが、FRとしては上々だ。    Luc Lacey

おそらく、スープラにとって最大の壁は、パッケージングとサイズにある。ケイマンやアルピーヌA110に比べ、占有面積は大きく、重量もあり、それが実感できてしまうのだ。

アダプティブダンパーのセッティングをもっともハードにしても、高速コーナーでロールに抵抗し、バンプを超える際に縦揺れや跳ねを抑えるのにシャシーが全力を注ぎ込み続けなければならない感覚は、もっと小さく軽いミドシップのクルマに比べてあからさまなのである。

また、比較的大きなエンジンがキャビンの前に積まれている事実は、華奢なミドシップのライバル、とりわけA110が見せるような至上の俊足ぶりやアジリティに立ち向かうとき、スープラを無力ならしめる要因でもある。

これらの要素が重なって、チャレンジングな道を攻めた際に、スープラのハンドリングの直観性や魅力、レスポンスや精密さで、クラス最高レベルの競合車に匹敵することは決してないと思わされる。

ただしそれは、たやすく実感できて楽しめる運動性が欠けているということではない。間違いなく、Z4より走りがエキサイティングだ。ステアリングは切りはじめがZ4よりはるかにクイックで、前輪はグリップが高く素早く動く。

それでいて安定性でも上回る感覚だが、とくにそれは後輪についていえることだ。BMWのテールは、コーナリング時や逆バンクのきつい道路ではチョロチョロ動くところもあるが、スープラはアダプティブダンパーをスポーツモードにすれば、もっと地に足のついた安心感を得られる。ただし、ノーマルモードのままだと、サスペンションが柔らかく、挙動はやや成り行きまかせなものとなる。

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