190psディーゼルの「ST」 フォード・フォーカスSTエステート2.0に初試乗
公開 : 2019.09.01 09:50
グリップレベルやハンドリングは良好
だがグリップレベルは充分に高く、ハンドリングのバランスも良好。スロットルを少し戻して、コーナリングラインを内側に絞っていく振る舞いは気持ちいい。エンジンも回転数を上げていくとうるさいものの、洗練性という面では優れている。
意外にもパッシブダンパーの方が、アダプティブダンパーよりも荒れた路面での乗り心地の悪化は少ない。反面、高速域でのボディ制御はやや及ばないようだ。それでも、大きなエステートボディだということを考えれば、充分評価できる落ち着きを得ている。
ペダルレイアウトは、アクセルとブレーキの距離が非常に離れており、せっかくのマニュアル・トランスミッションながら、ヒール&トウでの変速向きではない。オプションでパフォーマンス・パッケージを選択すれば、自動で回転数を合わせてくれるレブマッチング機能も付けられるが、たまには自身の手足で決めるのも悪くない。電子アシスト付きのブレーキの踏力も、踏み込んだ中間域での感覚に違和感がある。踏みごたえは充分あるものの、フィードバックが薄いようだ。
パフォーマンスの面ではガソリンエンジン版には及ばないながら、アピアランスは充分に「ST」をしている。ボディキットのセンスもいいし、控えめなリアスポイラーや19インチ・アルミホイールのデザインも良い。
エステートボディの大容量に燃費をプラス
インテリアでも、レブカウンターのレッドゾーンが「5」から始まることを除けば、基本的にディーゼルエンジンだからといって違いはない。インフォテイメント・システムは8インチのタッチモニター式で、バング&オルフセン製のプレミアム・オーディオも標準装備。
走りにこだわるドライバーには嬉しい、素晴らしくサポート製に優れた、レザー張りのレカロシートも付いてくる。またフォーカス・エステートらしい、充分なリアシートの空間と大きなラゲッジスペースは、ハッチバックにはない特権でもある。
ディーゼルエンジンを搭載したフォーカスSTエステート・エコブルーのライバルといえば、フォルクスワーゲン・ゴルフGTDエステートくらい。かなり個性的なパッケージングだ。ゴルフの方は7.5代目といえるフェイスリフトを受け、選択できるトランスミッションはデュアルクラッチATのみとなっている。ブランドも含めて選択動機となる違いだが、パフォーマンス・スペックや価格で比べると、両車は非常に近似している点も面白い。
新しいエコブルー・ディーゼルは、先代のディーゼル版ほどの人気は出ないだろうとフォードも予測している。しかし、長距離を高速道路で移動するような使い方の場合、エコブーストよりも燃費と低回転域でのトルクで優れるエコブルーの方が、懸命な選択ではあるともいえるだろう。
フォード・フォーカスSTエステート2.0 エコブルーのスペック
価格:3万595ポンド(397万円)
全長:4668mm
全幅:1848mm
全高:1492mm
最高速度:217km/h
0-100km/h加速:7.7秒
燃費:20.7km/L
CO2排出量:125g/km
乾燥重量:1585kg
パワートレイン:直列4気筒1996ccターボ
使用燃料:軽油
最高出力:189ps/3500rpm
最大トルク:40.7kg-m/2000rpm
ギアボックス:6速マニュアル