英国バックヤードビルダー訪問記 ペンブルトン・モーターカンパニー編
公開 : 2019.09.29 18:50
すべてを管理 魅力的な1台
そして、最後のひとりがガイであり、マーケティングと組立スケジュールの管理、そしてなによりも重要なサプライヤーとの連絡調整を行っている。
「エンジン以外、ほぼすべてのパーツは地元サプライヤーから供給を受けており、それ以外もすべて英国製です」と、彼は言う。
つねに3台のペンブルトンの組立が並行して行われており、完成までにはそれぞれ6週から8週間が必要となる。パーツの管理が大変そうだが、ガイはすべてをコントロールしており、「作業がストップすることのないよう、すべてのパーツはストックされています」と、彼は話している。
いま生産が行われている3台はすべて嫁ぎ先が決まっている。乗り出し価格は2万6394ポンド(343万円)というものであり、すべての車両にはオートバイや3ホイーラー向けの英国認証、MSVA(Motorcycle Single Vehicle Approval:モーターサイクル・シングルビークル認証)を取得するためのテストが行われる。
3台のうち、ポリッシュ仕上げのアルミホイールとカッパー色をしたボディの組み合わせに、対照的な明るい赤のレザーを与えられた1台に思わず目を奪われた。
湧き上がる自信 人生の楽しみ
「スペインのマルベージャに住むオーナーのもとへと嫁ぎます」とガイは教えてくれた。このクルマが有名なコスタ・デル・ソルの海岸線へと向かう姿が目に浮かぶようだが、いまはベイトンの村へと向かわなければならない。
試乗車のサイドシルをまたいでペンブルトンへと乗り込むと、ダークレザーのベンチシートに腰を下ろす。キーを廻してスターターボタンを押し込むと、グッチのVツインが目を覚ましエグゾーストから見事な咆哮を響かせる。
ギアシフトはダッシュボードマウントのプッシュ・プル式であり、この慣れない操作には注意が必要だったが、エンジンの豊かなトルクがわたしの下手なシフトをサポートしてくれた。
ステアリングは軽く正確で、乗り心地も柔らかく快適だったが、もっとも驚かされたのは、1輪しかないリアタイヤにまったく違和感がなかったことであり、写真撮影のため周囲を走り回っていると、どんどん自信が湧いてくる。
こうしたクルマをドライブするために人生はあるのだ。