自衛隊車両 どんなひとが操縦? 乗った印象は? 陸自隊員に聞いてみた 総火演

公開 : 2019.08.28 17:20  更新 : 2019.08.28 21:31

ふつうのひとがまず乗る機会のない、自衛隊車両。実際に操っているのはどんなひとで、どんな免許が必要? 8/25に一般公開された「総火演」で陸自隊員に聞いてみました。

そもそも富士総合火力演習とは?

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

富士総合火力演習は一般的に「総火演」(そうかえん)と呼ばれるイベントである。

国内最大級規模でおこなわれる陸上自衛隊による実弾演習で、例年8月の第4週から関係者を対象とした予行演習から始まり、最終日の日曜日に一般公開されるケースが多い。

富士総合火力演習は国内最大級規模でおこなわれる陸上自衛隊による実弾演習。
富士総合火力演習は国内最大級規模でおこなわれる陸上自衛隊による実弾演習。

日本国内ではたいへん珍しい「実弾演習」が見られるとあって一般公開日の見学は例年凄まじい倍率で抽選がおこなわれる。

今年は応募総数約14万通、倍率約27倍で23596名が入場した。

演習に参加する自衛隊員は全国の各部隊から集められた精鋭約2400名で、
戦車/装甲車約:80両
各種火砲:約60門
航空機:約20機
の規模で演習がおこなわれた。

筆者は平成29年〜30年に防衛省からの委嘱で防衛モニターを務めたことがきっかけで総火演を見学するようになり、今年で3回目の取材となった。

土曜日の夜間演習にも参加して、昨年は霧で見られなかった夜間演習の全容を見ることができた。

また、総火演といえば演習の後に「装備品展示」がおこなわれることでもおなじみ。演習に参加した戦車や火砲、水陸両用車、装甲車などが展示される。

展示されるそれぞれの自衛隊車両を担当する隊員に聞きつつ紹介してみたい。

自衛隊員が語る、戦車の操縦感覚は?

19式装輪自走155mmりゅう弾砲

今年の総火演最大の目玉車両がこちらの「19式装輪155mm自走りゅう弾砲」(ひときゅうしき・そうりん155みりじそうりゅうだんほう)である。

19式とは2019年に制式化された装備品のこと、つまり最新ということになる。

19式装輪155mm自走りゅう弾砲
19式装輪155mm自走りゅう弾砲

現在、自衛隊が所有する「牽引式りゅう弾砲(FH-70)」の後継として開発された。けん引式と違って装輪(タイヤ)で自走できることから、射撃・陣地変換の迅速化、戦略機動性の向上が圧倒的に優れている。

また、注目すべきは「陸上自衛隊初のドイツ製トラック」を採用していることで、ドイツMAN社の軍事車両部門であるRMMV(Rheinmetall MAN Military Vehicles)が製造する「HXシリーズ」がベースとなっている。

同シリーズのトラックはメンテナンスコストが低く、航空輸送性や適応できる装甲の幅が広いことがポイントだ。

19式装輪自走155mmりゅう弾砲をふだん扱っている陸自隊員に特徴を聞いてみた。

「重量/耐荷重/速度/機動性など様々な条件を総合的に判断して採用されたドイツ製のトラックがベースですが、乗り心地や運転のしやすさは日本製のトラックととくに大きな違いはありません」

「右ハンドルの設定もあるので、自衛隊では他の車両と同様に右ハンドル車を購入しています」

「全幅は2.5mと日本の公道を走ることも容易にできますし、免許も大型免許で乗ることができます。ドイツ製であってもメンテナンスは国産と同じようにできる体制となっています」

「これまでの『けん引式りゅう弾砲(FH70 )』と違って、装輪=タイヤになったので路上機動性が圧倒的に違っています。また、もう1つの大きな特徴は車両ごとC2輸送機での輸送が可能となったことです」

試作として5両の調達実績があり、2019年度中にさらに7両の調達が予定されている。

スペック

口径/口径長:155mm/52口径
全長:約11.4m
全幅:約2.5m
全高:約3.4m
乗員定数:5名

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