自衛隊車両 どんなひとが操縦? 乗った印象は? 陸自隊員に聞いてみた 総火演

公開 : 2019.08.28 17:20  更新 : 2019.08.28 21:31

見た目は戦車 実際は別モノ 16式

一見すると戦車のように見えるが、よく見ると履帯(キャタピラ)ではなく、装輪(タイヤ)がついている。

MCVの愛称で知られる装輪式の火力支援車両は2003年から10式戦車の開発技術応用を活かした「将来装輪戦闘車両」としてスタートし、2015年に開発が完了。2016年に制式化されて部隊配備が始まっている。

機動力が評価されている16式機動戦闘車。
機動力が評価されている16式機動戦闘車。

車体構造の特徴は96式装輪装甲車と同様の8輪コンバットタイヤによって車体を支えていることで、最高約100km/hで舗装路を走行できる。

軽量コンパクトであることから、C2輸送機や民間フェリーでも輸送可能である。16式機動戦闘車を扱う陸自隊員に聞いてみた。

「履帯(キャタピラ)で動く戦車は最新の10式(ひとまるしき)であっても約44tあります」

「こちらの16式(ひとろくしき)は全備重量が約26tで軽く、タイヤで走れることで機動性が良いですね」

「見た目は戦車に似ていますが全く別物です。戦車と違ってふつうのトラックと同じようなハンドルで操作できるので操作感覚も違和感がありません。(戦車のハンドルはバー式が主流)高速道路では100km/h以上出すことも可能です。方向転換なども早くできるので、扱いやすいです」

ちなみに、16式機動戦闘車1台の価格は5億500万円で2018年度には18台の調達実績があり、2019年度にも22台の調達が予定されている。

スペック

制式化:2016年
全長:8.45m
全幅:2.98m
全高:2.87m
全備重量:約26t
搭載機関:直列4気筒4ストローク水冷ターボチャージド・ディーゼル
出力:570ps/2100rpm
最高速度:約100km/h
乗員:4名
武装:
・52口径105mmライフル砲×1
・12.7mm重機関銃M2×1
・74式車載7.62mm機関銃×1

「ふつうに快適」 輸送防護車MRAP

日本で公開される機会は少ないこちらの輸送防護車はオーストラリア・タレス社の「ブッシュマスター」をそのまま輸入購入して自衛隊で使われている。

「MRAP」とは(Mine Resistant Ambush Protected)の略で地雷攻撃の衝撃にも耐えられる性能を持っていることを意味している。

特別防護車。
特別防護車。

主に、海外にいる邦人などを安全に陸路で輸送することを目的として配備された装輪式装甲輸送車だ。配備されている宇都宮駐屯地の隊員に話を聞いた。

「ふつうに快適なクルマです(笑)大型免許で乗ることができます。視界は非常に悪いので、助手席の隊員と連携を取りながら操縦しています。カメラなど外部を確認する機械もないので目視で確認しながら運転します」

「このクルマの大きな特徴としては起爆した地雷の爆発による衝撃から乗員を守るため、車体底部がV型構造になっている事です」

「燃料タンクが車体の外に搭載されているのも特徴で、これは爆発などの衝撃で燃料タンクによる被害が車内に及ぶのを防ぐためです」

「また、外の燃料タンクが攻撃を受けて無くなってしまっても車体内部の予備タンクで危険な地域から離れられる程度の走行が続けられるようになっています」

「ふだんは宇都宮にある車両で現在8台が配備されています。海外で使うことが前提なので、要請を受けて現地に運んで使用します」

なお、ハンドル位置は左右が選べるとのことだが、自衛隊では日本と同じ右ハンドルの車両を購入している。

スペック

配備:2015年3月
全長:7.18m
全幅:2.48m
全高:2.65m
全備重量:約15t
最高速度:約100km/h
航続距離:約800km
乗員:10名(後部乗員席8名)
武装:5.56mm機関銃MINIMI×1
製造:タレス・オーストラリア

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