ロードテスト メルセデス・ベンツCLA ★★★★★★☆☆☆☆
公開 : 2019.08.31 11:50
走り ★★★★★★☆☆☆☆
224ps/35.7kg−mの2.0Lターボエンジンと7速DCTは、速く走らせようとすると実に能率的に働いてくれる。0−97km/hは7秒以下、48−113km/hも6秒そこそこ。このペースは、2017年にテストした245psのワゴン、スコダ・オクタヴィアvRSにきわめて近い。
225セクションの18インチとはいえ、ハンコックのグリップは前輪のトラクションを活かしきれていない。もっとグリップのあるタイヤなら、0−97km/h加速は6.5秒ほどに短縮できるはずだ。
しかし、もっと残念なのは、メルセデスがこのCLAをスポーティに仕立てたわりに、積極的に飛ばして楽しみたいという気になれないことだ。
その主な理由は、高回転での機械的な洗練性と4気筒が発するサウンドの豊かさが足りないこと。特に前者は、これまで同じプラットフォームとエンジンを持つコンパクトモデルでの経験を踏まえると、ちょっとばかり驚きだ。
このエンジン、クルージング時や低回転時にはたいていの場合、静かでスムースに回る。ところが、始動時には実に品のない音を立て、4000rpm以上まで引っ張ると不自然に耳障りなのだ。
シフトアップの際にDCTのクラッチが慌ただしく動き、エンジンはレスポンスに優れ、実用トルクも十分すぎるほどあるので、元気に走ろうとしてもエンジンをあまり回さなくていいのはありがたい。とはいえ、トランスミッションは非の打ち所がないとはいえない。
Dレンジでは、渋滞時にノロノロ進んでいると、クラッチがなかなかきれないところがあると、テスター陣は口々に述べる。そのため、停止させようとブレーキを踏んだ際には、シフトダウンがぎこちなく、スタート/ストップ機能がエンジンを切る段になると、止まろうとするクランクシャフトが多少の動力を駆動輪に伝えてしまう。
そうしたドライバビリティにおけるグレムリン効果が、これまで試乗したAクラスやBクラスの現行モデルには見られなかったわけではないが、これほど顕著で気になるものでもなかった。十分に煮詰められたはずのプレミアムブランドのクルマに期待するものとはまったく違う仕上がりなのだ。