試乗 ホンダNワゴン新型 走り/内装/運転支援機能の評価は? カスタム・ターボも
公開 : 2019.09.03 12:00 更新 : 2019.09.03 12:00
NAとターボ 走りの違い
駆動トルク基準のトルクオンデマンドによるスロットル大開き制御とゼロ点と交差しない直線的車速線となる変速制御等の結果の力強さ。悪く言えば誤魔化しなのだが、穏健な走り方をするドライバーなら9割方は力強く演出された領域で過ごす。
こちらが実態なのだ。付け加えるなら、力強さを感じる領域は燃費にも優しい。
NA仕様では60km/hを超える辺りから高回転の使用頻度が高くなるが、ターボは速度上昇による余力減少が少ない。
NA仕様同様に巡航から緩加速への移行は僅かな、回転数にして500rpmあるかどうかのダウンシフトから入る。高速域でのNA車はそのまま踏み込みに応じてダウンシフトも大きくなる。ところがターボ車は踏み込み量に対する加速がよく、回転上昇も抑えられる。
市街地走行ではターボのアドバンテージをあまり感じなかったが、高速道路は段違い。
90-100km/hでの加速性はかなりの違い。ACCを100km/hにセットして追従走行させていても、NA車は前車の加速についていくのに一生懸命、ターボ車はごくふつうに、なのだ。
運転支援機能/乗り心地は?
なお、夜間歩行者認識などホンダセンシングもNボックスから進化したが、ACCやLKA(LKAS)も性能や制御の改良が図られている。ACCは渋滞追従機能付きの全車速型となった。
また、前車追従中の加減速制御やLKAの走行ライン維持率も向上。とくにLKAは早めに少なく補正をかけるような制御で、保舵感等の感覚的な違和感が少ない。
LKAの好印象については操安性の影響も見逃せない。乗用車の中では最も軽量小型なジャンルにも関わらず、ロングホイールベースの重量級にも似た落ち着きを示す。前輪にしっかりと荷重をかけた安定感が見所。
見た目に似合わず高速コーナーでも挙動とライントレースが安定。横風を受けた時の方向安定もいい。低速コーナーから高速コーナーまでステア特性の変化が少ないのは安定性最優先のシャシーとアジャイルハンドリングアシストの賜だろう。
狭いトレッドや高い重心(&風圧中心)をサスの硬さでカバーしていないので乗り心地もいい。穏やかとか滑らかと表現したくなる。
カスタムLターボ(FF)のリアスタビ
カスタムLターボは装着タイヤと同グレードだけが装着するリアスタビのせいか低速の荒れた路面で車軸周りの振動が目立ったが、ゆったりと深いストローク使いは共通している。
ピッチやロール変化が穏やかなので乗り心地もロング&ワイドの重量車的である。
すべて物理条件を超えることは出来ないのだから、シャシー性能も「誤魔化し」なのかも知れない。しかし、これらは表現を変えるなら走りの質感そのものでもある。計器にどう表れるかではなく、乗っている人がどう感じるかが大切。ナイセストカーなのである。