407psと85kWhで最大416km メルセデス・ベンツEQC 400に試乗 価格に相応しい
公開 : 2019.09.03 09:50 更新 : 2021.04.27 07:06
メルセデス・ベンツが新たに生み出すEQCは、広々とした車内に落ち着きのあるハンドリングを備え、英国での日常利用にもほとんど不満を感じなさそうだとする英国編集部。ひとつ気になる点とすれば、メルセデス・ベンツらしいエクステリアデザインのアピール力といえるでしょう。
もくじ
ー85kWhのバッテリーに合計407psのモーター
ー最新のメルセデス・ベンツらしい車内空間
ー5種類のドライビングモードと回生ブレーキ
ー満足感の高いドライビングフィール
ーエンジンを搭載したクルマの完全なる代替モデル
ーメルセデス・ベンツEQC 400 4マティックAMGラインのスペック
85kWhのバッテリーに合計407psのモーター
メルセデスが量産する乗用車としては初めての純EVが、初めて英国の地に降り立った。EQC400は中サイズの5シーターSUVで、4輪駆動システムに400馬力以上の最高出力を誇る。加速力は多くのホットハッチを超える鋭さを持ち、車内空間には大人5名と、その小旅行に必要な荷物を積むのに充分な広さがある。加えてメルセデス・ベンツらしいラグジュアリーさも兼ね備える。
7万ポンド(910万円)にふさわしい内容に聞こえるだろうか。純EVだから、排気ガスを一切出さないことも、重要なセールスポイントとなる。プラットフォームは同じSUVのGLCと共通しており、EQCが完全な専用設計を施されたEVというわけではないが、搭載されるメカニズムはメルセデス・ベンツだから、最善なものが搭載されている。
エネルギー源は85kWhの容量を持つリチウムイオン・バッテリーで、テスラと同様に床下に搭載。実際に利用可能な容量は80kWhとなるという。ライバルモデルのアウディEトロン・クワトロは95kWhのバッテリーを搭載するが、利用可能な容量は83.6kWhに留まっている。ジャガーIペースの割合は、さらに少ない。
EQCには前後ふたつのモーターとプラネタリーギアを搭載し、総合での最高出力は407psで、最大トルクは77.4kg-m。最大トルクはアウディEトロンやジャガーIペースよりもかなり高い。
ボディサイズは、大きなアウディとコンパクトなジャガーの中間。車重は2495kgもあり、当面は大きな駆動用バッテリーを搭載するEVにとって、避けることができない問題ではある。アウディよりもわずかに軽いものの、ジャガーよりは300kgほど重たい。ボディサイズの割に重い理由は、既存のプラットフォームを流用したところが大きく、それはアウディと同様でもある。
最新のメルセデス・ベンツらしい車内空間
恐らく金額当たりで得られる航続距離は、EVを購入する際の重要な判断基準でもあるだろう。EQCの航続距離は、オプションの装備にもよるが、WLTPテストでアウディとほぼ同じとなる最大で416km。469kmを誇る軽量なジャガーには及ばない。またテスラ・モデルXに一番大きなバッテリーを搭載すれば、505kmが走れると公表されている。反面、EQCの価格はアウディやテスラよりも安価ではある。
英国でじっくりとEQCを走らせてみたが、エクステリアデザインは高級EVには物足りない、というのが率直な感想。GLCとの差別化をするためにも工夫されてはいるが、どこか似通った雰囲気も漂わせている。ひと目見てメルセデス・ベンツとわかりにくい点もEQCには不利に働くと感じるが、これからEQブランドのモデルが多くリリースされることで、見え方も変わってくるはず。今の段階での判断は少し早いのかもしれない。
一方でインテリアデザインは、新しく興味深い処理と、明確にメルセデス・ベンツ・ブランドの一員であることがわかるエレメントがバランスし、成功していると思う。前席も広々しているし、後席も子供3名か、大人2名がゆったり座れる空間がある。ダッシュボードに用いられている素材や、デザイン処理も見慣れたメルセデス・ベンツ流のものだが、革新的な雰囲気も同時に与えられている。
ただしインテリアの触覚的な質感やソリッド感では、アウディにはやや及ばないとも思う。成形の都合なのか、わずかだがパーツのラインが不自然だったり、トリムパネルを押すと場所によって軽いきしみ音を立ててしまうようだ。それでも、ハイテク感満載でラグジュアリーなオーラには満ち溢れている。