407psと85kWhで最大416km メルセデス・ベンツEQC 400に試乗 価格に相応しい
公開 : 2019.09.03 09:50 更新 : 2021.04.27 07:06
5種類のドライビングモードと回生ブレーキ
ドライビングポジションはSUVの基準で見るとやや低め。乗り降りのしやすさと、全方向への視界の良さを両立させている。インスツルメント・パネルの機能とインフォテインメント・システムには、継ぎ目すらわからないような1面の超ワイドモニターに集約されている点も、最新のメルセデス・ベンツらしい。もちろんタッチ式モニターではあるが、ステアリングホイールのリムに配されたコントロール・スイッチや音声コントロール、センターコンソールのタッチパッドなどでも操作は可能だ。
ドライブモードは他のメルセデス・ベンツと同じセレクターを介して変更でき、「スポーツ」から「最大レンジ」モードまで5種類が用意されている。ステアリングホイールの裏にはパドルが付いており、5段階からアクセルペダルを戻した際の回生ブレーキの効きの強さを選ぶこともできる。
今年のはじめにオスロで試乗した時は、ダイナミクス性能の磨き込みが必要だと感じられたEQC。今回の英国試乗でも、心を打つほどの洗練性とまでは及んでいなかったが、車内の落ち着きのある快適性は充分に優れているものだった。
5種類あるドライブモードと、5段階の回生ブレーキの設定で、自分好みの組み合わせを見つけるのには少々時間がかかる。クルーズコントロールとナビゲーション・システムからのデータを利用し、回生の設定を自動的にクルマ側で調整させることもできるが、ドライバーが効きの強さをパドルで調整した方が走らせやすい。マニュアルモードで減速するように、パドルで都度変えるのが良さそうだ。またコンフォートやスポーツモードでは、アクセルペダルのやや人工的な味付けが改善される様子。
満足感の高いドライビングフィール
EQCは先進的な半自律走行システムも搭載する。基本的に有用ながら、まだシステム任せにしておいて大丈夫な場面と、ドライバーが介入すべき場面とが不明確に生じてしまい、運転のしやすさが明確に向上するわけではない。だが特に混雑した高速道路などで、半自律走行システム任せでも安心して乗っていられる点は、明確なメリットだ。
積極的にドライビングをした時の満足感も高い。スポーツモードでは、EVということもあってレスポンスは良好。低速域からの加速も本当に鋭い。ジャガーIペースやテスラ・モデル3ほどドライバーに対する訴求力は高くないかもしれないが、アウディEトロン・クワトロは凌駕していると思う。間もなく比較テストも行う予定だから、結果が楽しみだ。わたしの感覚としては、ディーゼルエンジンやトップスペックのガソリンエンジン・モデルより優れた結果を残すと予想する。
ステアリングフィールは、どこか1枚フィルターを挟んだ印象を受けるひともいるだろう。しかし、ダイレクト感は充分あり、きついコーナーやインターチェンジでも、不安感を感じることはない。ボディコントロールは比較的ソフトな部類ながら、低速走行時は快適で、高速域でも充分に締まりのある正確な身のこなしを披露する。
トルクベクタリング機能も備える4輪駆動システムは、滑りやすい路面でも極めて高いトラクションと安定性を保持。ドライバーとの対話性という面では濃いわけではないものの、不足のないハイスピード・ドライブを楽しむことができる。