6代目 三菱L200(トライトン)に試乗 新エンジンとシールドグリルを獲得
公開 : 2019.09.08 09:50 更新 : 2022.08.08 07:54
優れた走破性と3.5tの最大牽引重量
試乗コースはかなり過酷な、ぬかるんだ滑りやすい路面だったが、スーパーセレクト4WD−IIにヒルディセント・コントロールを含む、電子制御4輪駆動システムの能力が遺憾なく発揮。18インチホイールには通常のオールテレインタイヤが組まれていたが、見事に走破していた。
英国の場合、トレーラーやキャンピングトレーラーなどの牽引需要も高いが、L200の最大牽引重量は3.5tと大きい。ボディ全長は5.3mと大柄ながら、思いのほか狭い道路での取り回しも楽に感じた。パワーステアリングは油圧式で、操舵時の重み付けも適正。正確性も高く、狭いコーナーを走らせる際の手応えもいい。
流れの速い高速道路でのクルージングも安楽で、SUVユーザーからの買い替えも期待できるほど。風切り音も先代より低くなったほか、18インチで扁平率60という肉厚のタイヤながら、ロードノイズも驚くほど小さい。反面、路面の細かな凹凸はしっかり吸収してくれる。
ラグジュアリー・サルーンではないのだが、ラダーフレームにボディが乗った構造の割に、引き締まった乗り心地が好印象。サスペンションは適度に柔軟性があり、限界領域に迫っても、リアのリーフスプリングが暴れることもない。ペースを上げていくほどにボディロールは大きくなるが、コーナリング時のグリップ力も確実。濡れた路面や滑りやすい路面でも徐々にアンダーステアへと転じ、安全性も高いといえる。
成功が予見できる優れた仕上がり
車重はライバルよりも軽く2035kgで、英国で2050kgを超えると適用されてしまう高速道路での商用車の最高速度、96km/h制限を受けないで済む。加えて、最大積載量はライバルモデルよりもわずかに大きい1080kg。英国で商用車として税金が優遇されるには積載量が1tを超える必要があり、農家や建設業者などにとってはメリットが大きいはずだ。
4枚ドアとなるダブルキャブ・ピックアップトラックの上級志向の流れは、最近特に強くなってきている。メルセデス・ベンツXクラスの登場で、ライバルモデルの層も拡大した。そんな中で三菱は、新しいL200がどうあるべきかを理解し、アピアランスもぐっと良くなった。このクラスでのベストとして、再び戦うのに充分な力を備えたといえる。
加えてL200は極めて堅牢で信頼性も高く、悪路走破性も良いという、受け継がれてきたアドバンテージも持っている。今回の試乗コースでもそれは実証できている。しかも英国ユーザーからの要求を理解し、その価値を認め、クルマへと反映されている。
6代目となった三菱L200、特に最上級グレードのバーバリアンXは、文明化されたピックアップトラックとしての確固たる地位を守るための、三菱の強い意志の表れだといえる。その優れた仕上がりからは、成功という2文字が充分に予見できる。
三菱L200(トライトン)バーバリアンXのスペック
価格:3万2200ポンド(418万円)
全長:5205mm
全幅:1758mm
全高:1775mm
最高速度:173km/h
0-100km/h加速:14.0秒(予想)
燃費:10.3km/L(WLTP)
CO2排出量:−
乾燥重量:2035kg
パワートレイン:直列4気筒2258ccターボ
使用燃料:軽油
最高出力:150ps/3500rpm
最大トルク:40.7kg-m/2000rpm
ギアボックス:6速オートマティック