ロードテスト フォード・レンジャー ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2019.09.07 11:50

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

ラプターは、オフロードレース用トラックの遺伝子を受け継ぎながら、ナンバープレートを取得でき、3年保証も付いてくる。ラダーフレームシャシーはレンジャーの標準モデル用をベースに、低合金スティールを用いて、特にフロントのストラットタワー周辺の強度が高められ、オフロードでの高速走行で想定される衝撃への耐性を持たせている。

リアサスペンションは、コントロールを保ちつつ衝撃吸収性を改善するため、全面的に新設計された。スプリングはリーフからコイルへ変更され、アクスルの横方向の位置決めは、ワッツリンクの追加で正確さを増した。

前後ともコイルスプリングを採用。ダンパーは、オフロード四駆やMTB向けの高性能品を製造するフォックス製だ。
前後ともコイルスプリングを採用。ダンパーは、オフロード四駆やMTB向けの高性能品を製造するフォックス製だ。    OLGUN KORDAL

ダンパーはフォックス製で、トラベルは標準仕様よりフロントが32%、リアが18%伸ばされている。最低地上高は30mmプラスの283mmで、ジープラングラーのオフロード性能がもっとも高い仕様であるルビコンより大きい。床下には、2・3mmの鉄板を用いたアンダーガードを設置する。

最大渡河深度は850mmで、レンジローバーには50mm及ばないものの、本格クロカンでさえほぼ太刀打ちできるもののない数字。タイヤは、オフロード向けのトレッドパターンと強化されたサイドウォールを持つ、285/70サイズのBFグッドリッチKO2だ。

ダブルキャブのボディは巨大だ。全長5363mmと全幅2180mmは、レンジャーのベーシックなXLTグレードよりわずかながら拡大され、トレッドはなんと150mmも拡幅。占有面積はメルセデスSクラスより大きい。

予想されるほぼあらゆる地形を走破するレンジャー・ラプターは、4気筒の2.0Lツインターボディーゼルを搭載。F-150ラプターのように、フォードGT由来の3.5L V8を積むことも検討されたようだが、欧州販売を考慮して断念。213psと50.7kg−mを発生し、後輪もしくは四輪を、10速ATとハイ/ロー切り替えの副変速機を介して駆動する。

2510kgの車重もあり、パフォーマンスは控えめで、0−100km/h加速の公称値は10秒をややオーバーする。しかしながら、最大限のトラクションを得られるよう、リアにはデフロックを備える。

当然ながら、この車の強大なポテンシャルを最大限引き出すため、電子制御の走行モード切り替え機能が備わる。テレインマネージメントシステムと銘打たれたそれは、6つのモードが設定され、草地やグラベル、雪上、岩場などに対応する。もっとも興味深いのはバハモードで、砂漠レースの舞台にもなる地名を戴くことからもわかるように、悪路での全開走行を考慮したものだ。

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