ロードテスト フォード・レンジャー ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.09.07 11:50
走り ★★★★★★★☆☆☆
レンジャー・ラプターは正真正銘、フォード・パフォーマンスが手がけたモデルであるだけに、2.0L直4ディーゼルのおもしろみのなさをどうしても批判したくなる。もしも北米仕様にはF-150と同じくV6ガソリンユニットが搭載されるという噂が真実であれば、なぜ欧州仕様にも積まなかったのか疑問を呈せざるを得ない。
必然的に、論点は売れるかどうかという話になるだろう。しかし、シャシーに施された広範囲な変更を念入りに試したあとなら、カタログ上のパフォーマンス不足によってレンジャー・ラプターのエンジンを批判することは、的外れな指摘にさえ思えてくる。
そうはいっても、パフォーマンスカーだと見るなら、このクルマはたしかに遅い。2.5tのピックアップトラックが、路面の湿ったテストコースで、10.5秒という0−97km/hタイムをマークすれば上々だし、0-100km/hが10.5秒というカタログデータも信用できるところだ。しかし、2012年にテストした5気筒・200psのレンジャー・ワイルドトラックより0.3秒速いに過ぎないのだ。
よりリアルな交通状況に近い48-113km/hでも、その差は同じようなもの。レンジャーの標準モデルが10.7秒なのに対し、ラプターは10.5秒に過ぎないのだ。それでも、昨年のテストで0-97km/hが11.2秒、48-113km/hが11.6秒だったメルセデスX250dは凌いでいる。
クルージングでは、このエンジンは控えめで、だいぶ洗練された印象だ。急加速をするとディーゼルらしい轟音がかなり耳につくが、実はスピーカーが発する合成音で、われわれが一番うんざりしたのはそこだ。どんなに想像力を働かせても、そのサウンドがスバルの古き佳きインプレッサWRX STIのそれに聞こえてくるわけもなく、ひたすら不自然なだけなのだから。
いっぽうの10速ATは、ときどき段数がちょっとばかり多くて扱いかねているように感じることもある。パートスロットルで加速すると、一旦シフトダウンしてから、エンジン回転数がちょうどいいダッシュをするには足りないと気づいて、再度ギアを下げるようなところが見られるのだ。それでも、ゼロ発進はスムースで、トリッキーなオフロードで運転するのに役立つ正確な操作にもつながる。