独断と偏見で選ぶ 英国版AUTOCARお気に入り50台 5〜1位 中編
公開 : 2019.09.08 18:50
今回だけはジャーナリストのルールを無視して、英国版Autocar編集部が独断と偏見で選んだいま英国で購入することの出来る新車ベスト50台をご紹介します。ランクインした多くが納得のモデルであり、最後に残った5台にもご賛同頂けるのではないでしょうか。いよいよトップ5の発表です。
驚きは変わらず
より新しいE90とF30ではさらに洗練されてはいたものの、他のライバルとの違いを明確に打ち出すことには失敗しており、ドライバーだけでなく、他のパッセンジャーにとっても懸念の残る仕上がりに留まっていたが、G20世代になって、ふたたびE46世代までの方向性へと完全に回帰している。
その結果がこのクルマのハンドリングであり、相応しい道さえあれば、思わず後ろを振り返って本当にこれは狭苦しいリアスペースしかもたないスポーツクーペではなく、4ドアサルーンなのかと確かめずにはいられなくなるほどの自信と正確さを感じさせてくれる。
まさに、15年ぶりに再会する本来の3シリーズであり、ルックスからはそうは思えないかも知れないが、多くの点でトップ5台のなかでもっとも驚かされたモデルでもあった。
一方、もっとも驚きが少なかったのがアルピーヌA110であり、この時代を変革する小さく見事なスポーツカーに対する賛辞の嵐に、これ以上何か付け加えるべきことがあるとすれば、おそらくそれは、こうしたすべての称賛や、多くの距離をこのクルマのステアリングを握って走り回り、数カ月をともに過ごすことで、すでに履き古したスリッパのように慣れ親しんだ後でさえ、このクルマに対する驚きは変わらないということだけだろう。
スポーツカーのランドマーク
このクルマは多くの点で純粋なスポーツカーに対する常識を逸脱している。それはわずか4気筒のエンターボエンジンであることや、3ペダルではなく2ペダルだなどといったことだが、そんなことを忘れてこのクルマとともに時を過ごせば、記憶に残るのは単にこれほど見事なクルマなど他に存在しないということでしかない
このクルマは軽量でコンパクトなモデルであり、アルピーヌに匹敵するほどのドライビングは最高のスーパーカーでも味わえると思うかも知れないが、それは明らかに間違いだ。ルノー・メガーヌのメカニカルコンポーネントをベースとしたこのクルマと、スーパーカーを比べることなどできない。
A110の真に驚くべき点は、つねに記憶を上回る素晴らしさを感じさせるところにある。
初めてこのクルマのスロットルを踏み込んでみれば、ドライバーの耳にはエンジンサウンドが聞こえるとともに、リアが力強く路面を蹴りだす衝撃がこのクルマの軽量さを思い出させ、コーナーへと飛び込めば、見事な落ち着きを感じさせるシャシーによって、ドライバーの用意が出来ていれば、思わずその顔には笑みが浮かぶことだろう。
まさにこのクルマはまさにスポーツカーのランドマークと言うべき存在なのだ。