マイナーチェンジ アウディQ7 50 TDIに試乗 V6ディーゼル 内装・装備を刷新

公開 : 2019.09.09 09:50

穏やかに静けさと快適さにひたる

スロットルを踏み込む量が不十分だと想像以上に加速してくれず、流れの早いランナバウト(ロータリー交差点)への合流などを考えると、歓迎できる設定ではない。だがしっかりペダルを踏み込めば、充分に素早くキックダウンしてくれ、不足のない加速は得られる。

乗り心地は充分に甘美で、マイナーチェンジ前同様に充足感にあふれている。路面の細かなうねりをしっかりと吸収し滑らかに通過してくれるし、路面の剥がれなど細かい凹凸も、車内にいる限り遠くの存在でしかない。ドライビングモードをダイナミックにすると、ボディコントロールが引き締まるかわりにソリッド感が高まるが、かといって不快に感じることはないだろう。

アウディQ7 50 TDI
アウディQ7 50 TDI

だとしてもQ7は積極的なペースで運転を楽しむ性格を持ったクルマではない。ダイナミックモードを選択する機会は限られるのではないだろうか。トラクションに不足はないものの、ステアリングフィールは淡白で、コーナリング中はボディサイズや車重を実感する。Q7はあくまでも穏やかに静けさと快適さを、ドライバーも楽しむクルマなのだ。

エアサスペンションが標準装備となるが、同時にガソリンエンジンを搭載した55 TFSIに、より引き締まったスポーツサスペンションの組み合わせも確かめることができた。こちらは340psと50.9kg-mというガソリンエンジンが搭載され、大柄なボディを力強く、滑らかなマナーで引っ張る。パフォーマンスに不満を覚えることはないだろう。

だがこのクラスのSUVを選ぶなら、最適なのはディーゼルエンジンの方だと思う。アウディはまだWLTP燃費を公表していないが、優れたトルクと燃費との組み合わせの訴求力は高いはず。

大型ラグジュアリーSUVらしさを味わう

スポーツサスペンションは、標準のサスペンションよりも明確に引き締まった乗り心地となるが、Q7の安楽な長距離ツーリングに犠牲を与えるほどではない。コーナリング時の優れたボディコントロール性は、むしろ歓迎すべきポイントだ。

路面が荒れた区間を走ると、細かな振動を多めに拾う傾向はあるが、車高が低められているだけでなく、50 TDIが20インチのホイールだったのに対し、55 TFSIは21インチのホイールを履いていたことも影響を与えているはず。少なくともスポーツサスペンションを選んでも、標準のサスペンションと比べない限り、乗り心地が悪いと感じることはなさそうだ。ラグジュアリーで穏やかなSUVというQ7の本来の性格を楽しむのなら、標準のサスペンションに、小さめのアルミホイールの方が適しているとは思うけれど。

アウディQ7 50 TDI
アウディQ7 50 TDI

もし洗練性された走りだけでなく、一般道でのより優れたハンドリグを求めるのなら、アウディQ7よりもポルシェカイエンBMW X5レンジローバー・スポーツの方が、希望通りの乗り味が得られるはず。このボディサイズを考えると、スリリングな走りを味わえないことを批判することの方が無益だと思う。Q7は完璧なまでに快適で上質な、SUVならではの魅力を味わうべきクルマだ。

インテリアの質感や実用性はライバルモデルと肩を並べ、50 TDIに搭載されるエンジンは控えめな存在感でありつつ、不足ないほどに強力。アピアランスも先代以上に引き立って写る。トランスミッションの反応がより素早ければ、とも思うが、素晴らしい仕上がりが霞むほどではない。

アウディQ7 50 TDIのスペック

価格:6万ポンド(780万円・予想)
全長:5052mm
全幅:1968mm
全高:1740mm
最高速度:241km/h
0-100km/h加速:6.5秒
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:2165kg
パワートレイン:V型6気筒2967ccターボ+ハイブリッド
使用燃料:軽油
最高出力:286ps/3500−4000rpm
最大トルク:61.0kg-m/2250−3250rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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