災害で停電、クルマを避難場所に 政府も公認 正しい使い方/注意すべきポイントまとめ
公開 : 2019.09.11 19:25 更新 : 2019.10.16 09:41
クルマへの避難でできること:暑さ対策編
暑い時期の停電は家庭のエアコンが使用できなくなり、涼を求めて車内に避難するひとも多いだろう。
外気温が35℃近い環境下でエアコンがないと命の危険もある。
エンジンをかけてエアコンをつけっぱなしにして車内で過ごす場合の注意点をまとめてみた。
ガソリンを入れておくことが大前提
車内エアコンはエンジンをかけて使うことが前提となるが、長時間の使用ではガソリンが意外と早くなくなるので注意が必要だ。
台風で2日間停電していた横須賀市在住一家は大型犬3頭と共にキャンピングカーに避難した。
「グランドハイエース(3.4Lガソリンエンジン)がベースのキャンピングカーですが、エアコンを使うためエンジンをかけっぱなしにしておくと、1日で60Lのタンクが空っぽになりました」とのこと。
走行しなくても猛暑で1日中エアコンを使うとガソリンは予想以上に減ってしまうのだ。
エアコンの効きを良くするためには?
クルマは走行していないとエアコンの効きが悪くなる。
カーエアコンの冷却システムは走行風を利用しているためで、渋滞などで効きが悪くなるのも同様の理由となる。
効率よく冷やすためには日が当たらない場所にクルマを移動させるか、窓をアルミロールシートなどで極力すき間なく覆って日射をシャットアウトするのが効果的。
フロントガラスに使うサンシェードを前と後ろの窓に使うのも良い。手持ちのモノがなくすぐには買えない場合は、家にある大き目の布やバスタオルやシーツを使うのも一案だ。
車中避難 命にかかわる注意点はある?
千葉県在住のHさん宅はいまだ停電中だが、車内避難はしていないという。
「いざという場合に都内の親戚宅へ移動するため3分の1残っているガソリンをセーブしています」
「自宅周辺のガソリンスタンドは給油するのに4時間待ち。半ばパニック状態のようです……」
ガソリンの給油自体はまだ困難な場所が千葉県内にはある。Hさんの選択は賢明と言えるだろう。
そして注意すべきは、クルマがガレージなどの室内にある場合だ。
ガレージのクルマの中でエンジンをかけっぱなしにする場合は定期的に換気をすることが最重要だ。
実際、2005年に札幌で悲惨な事故が起こった。ガレージ内でエンジンをかけたまま車内にいて、ガレージに充満した一酸化炭素が車内に侵入……車内にいた2名が亡くなり、さらにガレージの上の住人も死亡という痛ましい事故である。
この時は「暖を取るため」エンジンをかけていたようだが、「冷房を使うため」にエンジンをかける場合も同様。
閉ざされた空間でエンジンを掛けることは危険な行為ゆえ、換気を絶対に忘れないようにしてほしい。
また、長時間車内にいて発生する恐れがあるのが「エコノミークラス症候群」(静脈血栓塞栓症)である。
2016年4月熊本地震の時には震災関連死約200名のうち60名が車中泊をしていたことがわかっている。
血栓を予防するためには3〜4時間に一度は外に出て体を動かすか、足首を回すだけでも良い。また、水分補給も重要だ。
熊本地震では「トイレに行くのが大変」と、水分を控えていた車中避難の高齢者がエコノミークラス症候群で亡くなるケースが多かった。