ロードテスト テスラ・モデル3 ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.09.14 11:50
内装 ★★★★★★★☆☆☆
ミニマリズムの原則を自動車の内装デザインへどのように適用できるかを示す例として、モデル3ほど適任なものはない。その最たるものは、テスラのデザイナーが可能な限りスイッチ類を排除しようとした徹底ぶりだ。残された実体スイッチは、片手の指で足りるほどなのである。
パワーウインドウのスイッチを別とすれば、後はステアリングコラムの左右に生える、シフトセレクターと方向指示器のレバー、ルーフに設置されたハザードと緊急時アシストサービスのボタン、そしてステアリングホイールの左右スポークに据えられた多機能ダイヤル、それですべてだ。
シンプルでスリムなダッシュボードの中央にドンと居座る15.0インチの大画面タッチ式ディスプレイと合わせて、それら数個のスイッチで、このクルマの操作や調整はほぼ事足りてしまう。ドアミラーからステアリングホイールの位置、ナビ、クルーズコントロール、ヘッドライトやワイパーまで、タッチパネルとコラムレバー、ステアリングスイッチで操作できる。計器盤もまた、ディスプレイに統合されている。
このようなキャビン設計へのアプローチには、多少の慣れが必要だ。とはいえ、サブメニューの呼び出し方になじみ、どれが何を操作するものか理解してしまえば、問題なく機能する。ただし、完璧とは言えないが。ディスプレイは、クルマのほとんどの機能を操作するだけでなく、当然ながら重要な車両情報などの表示部でもある。そのため必然的に、運転中でも路上から視線を外さなければならないのが具合悪い。
後席には、大人2名がゆったり過ごせる広さがある。また、小物入れは多く、フロントの小ぶりなラゲッジコンパートメントとリアのトランクルームを合わせた積載容量は542Lで、3シリーズの480Lを上回り、高い実用性を備える。
ヴィーガンレザーと呼ばれる合成皮革とピアノブラックを用いた内装トリムは、質感向上に十分な寄与を見せる。それでも、アウディやBMW、メルセデスに肩を並べるには、まだやるべきことがある。