ロードテスト テスラ・モデル3 ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.09.14 11:50
快適性/静粛性 ★★★★★☆☆☆☆☆
EVの運動特性において、不自然なほど強力なパフォーマンスはいまや当然とみなされているが、走行時にノイジーで洗練性に欠けるとは誰も予期しないところだ。もしもモデル3のオーナーがわれわれと同じ感想を持つなら、加速力や反応のよさに魅了されると同時に、硬いサスペンションがキャビンへ伝えてくるロードノイズや、荒れた路面でボディが発する高周波の耳障りな唸りにガッカリするはずだ。
明らかにテスラは、このクルマを設計する際に、最先端のNVH遮断技術への投資を怠った。大きな音を立てるレシプロエンジンが積まれないことや、これがテスラの最廉価モデルであることを考えれば、それも納得できるところだ。そうはいっても、巡航速度で聞こえてくる背景音の大きさに気づけば、彼らの決定を見過ごすことはできない思いに駆られる。
モデル3は、上位のモデルSやモデルXが築き上げた、テスラのNVHに関する水準に達していない。そして、この価格帯のクルマに求められる洗練性にも遠く及ばない。パフォーマンスに惹かれて購入しても、その後は多少の妥協を強いられることになるだろう。
このクルマの乗り心地も、快適さは群を抜いてひどいとはいわないが、よほどスムースな舗装でなければ、しなやかさやバンプの吸収能力は標準以下といったところ。硬いスプリングのサスペンションは、ボディをせわしなく揺する。
とはいえ、この上ないボディコントロールは健在で、ハンドリングの安心感も損なわれていない。手応えが重く、緩慢で、ハイギアなステアリングは、少なくともハイウェイでの高いスピード域における上々のスタビリティを生み、バンプステアの影響もめったに受けない。