アルファ・ロメオ・トナーレ フィアット・チェントヴェンティ 次代を担うコンセプトモデル 後編

公開 : 2019.09.16 16:50  更新 : 2022.02.08 09:29

古の技術 感覚が頼り

さらにFCAの欧州デザイントップを務めるクラウス・ブッセは、トナーレのデザインはコンピュータやクレイモデルによってではなく、かつてイタリアのコーチビルダーたちの間で一世を風靡した石膏による造形によって創り出されたものだと話しており、そのため彼は1970年代に登場したなかでもっとも大胆な存在だった2台のスーパーカー、ランボルギーニカウンタックランチア・ストラトスを手掛けた75歳の石膏職人の手を借りている。

「視覚と手の感覚が頼りです」とブッセは言う。「造形が非常に重要です。スケッチを理解し、その要素をいかにモデルに落とし込むかは手仕事でしか表現できないものです」と、クルーガーもその純粋さについて語っており、トナーレは「コンピュータデザインの時代における純粋さの象徴だ」と言うのは、ライバルモデルたちの煩雑なデザインを暗に批判しているのかも知れない。

アルファ・ロメオ・トナーレ
アルファ・ロメオ・トナーレ

こうしたライバルたちと戦わなければならないからこそ、アルファ・ロメオにはこのクルマが必要なのであり、アルファの今年1月から5月までの欧州セールスは4万1646台から2万4252台へと急減しており、米国市場でも25%の減少に見舞われている。

スタイリッシュで魅力的なSUV

もっとも競争が激しいセグメントへと参入することになるトナーレのコンセプトがスタートしたのは昨年11月だったが、早くも今年3月のジュネーブでその姿を現している。市販モデルではジープレネゲードと共通のプラットフォームを与えられ、この2台ではプラグインハイブリッドも選択出来るようになる。

いまのところこのプラットフォームが完全新設計なのか、既存プラットフォームに手を加えたものに留まるのかは明らかではないが、いずれにせよ、基本的にフロント駆動のSUVのプラットフォームを、アルファ独自の骨格が高く評価されたジュリアとステルヴィオのレベルにまで引き上げるには、かなりのハードワークが必要だろう。

アルファ・ロメオ・トナーレ
アルファ・ロメオ・トナーレ

まるで安心させるかのように、「われわれのダイナミクスチームはアルファがどうあるべきかということを理解しています」と、クルーガーは話す。

プラグインハイブリッドもラインアップされるこのクルマは、アルファ・ロメオのパワートレインが魅力的なまま、より環境負荷の少ないものへと進化するキッカケになるとともに、このスタイリッシュで魅力的なコンパクトSUVにさらなる魅力を加えることになるだろう。

その登場が待ちきれない。

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