マツダらしい訴求力 マツダCX−30 スカイアクティブGとXの両車に試乗
公開 : 2019.09.18 09:50 更新 : 2019.09.18 16:32
マツダらしいハンドリングも魅力
ニューモデルということもあり、CX−30の仕上がりは堅い。どちらのエンジンも静かでスムーズだし、インテリアの作り込みもスイッチ類まで高級感があるから、運転中の印象は上質で安らぎを感じるものだ。トランスミッションは6速マニュアルが標準装備となり、変速操作も滑らかでカシっとした正確な動きが心地良い。必要なら、素早い変速も受け入れてくれる。ATも後ほど追加になる予定で、4輪駆動はスカイアクティブXでのみ選択ができる。
スカイアクティブXの方は、回転数を上げると燃費もその分落ちるが、効率的に回している限りは優れた燃費を期待できる。スカイアクティブGの方が巡航走行時の洗練性では優れており、スカイアクティブXは最高出力だけでなく、中回転域でのトルク感も太い。だが、どちらのエンジンも実世界での燃費は15.9km/Lには届くだろう。
両者ともに5000rpm以上まで回しても最後の伸びを感じるユニットではないが、Gが低回転域でもたついた印象があるのに対し、Xは粘り強くよく回転するように感じられる。英国での価格差は1500ポンド(20万円)程度だから、良く考えて選択したい。
CX-30のキビキビとしたハンドリングは、マツダ車共通の強みでもある。操舵時の重さもちょうど良く、レシオの設定も自然。ボディコントロール性も良好で、充分に強いグリップ力も相まって、コーナリングマナーは一体感があり機敏だ。
運転も楽しめるコンパクト・クロスオーバー
乗り心地は少し硬めだが、路面の衝撃はよく吸収できており、ほとんどの場面で快適と感じられるだろう。低速走行時に鋭い凹凸を越えると、稀にやや鋭い衝撃を伝えることはあるようだ。それでも、車高が高められた多くのクロスオーバー・ハッチバックよりも運転は遥かに楽しめるクルマだといえる。
ハンドリングを向上させる目的のある、トルクベクタリング4輪駆動システムは、あえて選ばなくても良さそうだ。ブレーキとドライブトレインを細かく制御し、クルマの荷重移動を制御しつつ、タイヤに掛かる荷重とトルク配分を最適化させコーナリングを助ける賢い機能ではある。しかし、前輪駆動モデルと乗り比べても、大きな違いは感じ取れなかったのだ。
もし特に大型モデルは必要ないとしても、クロスオーバーモデルに興味があるのなら、CX−30を確かめるまで購入は待った方が良いかもしれない。実際に見てみると、気にいる要素は少なくないと思う。
CX−30は実用性の面ではクラスベストではないが、優れたダイナミクス性能や高級感のあるインテリア、ハンサムなエクステリアデザインなど、充分に惹きつけるだけの訴求力を備えている。フロントグリルに付くのは、Q2やX2などのプレミアムブランドのロゴではないけれど、トヨタCH−Rのように英国では高い支持を得るのではないだろうか。運転の楽しさも、トヨタに負けていないのだから。
マツダCX−30 2.0スカイアクティブGのスペック
価格:2万2895ポンド(297万円)
全長:4395mm
全幅:1795mm
全高:1540mm
最高速度:186km/h
0-100km/h加速:10.6秒
燃費:16.1km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:1334kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc
使用燃料:ガソリン
最高出力:121ps/6000rpm
最大トルク:21.6kg-m/4000rpm
ギアボックス:6速マニュアル